シンガポール拠点のメンズブランド「コロニークロージング」が販路を広げている。日本製の高品質なリゾートウェアが受け、東南アジアを中心に卸先が増えている。26年からは円安などを追い風に、欧州での販路開拓にも乗り出した。
(高塩夏彦)
常夏の富裕層狙う
大手セレクトショップ出身の河村浩三氏が13年にシンガポールで立ち上げた。「ファッションの中心は欧米を筆頭とした北半球の国々。ただ、東南アジアで増えている洗練された富裕層の需要には応えきれていない」(河村氏)。常夏の気候に合わせ、あえて春夏物に特化することにした。秋冬物をほとんど作らない分、新作の生地開発に時間をかけられるのも強みになると考えた。

主力は厳選したリネン、コットンなどを使ったシャツ、ショーツ、ジャケット。現地の暮らしを観察し、富裕層が過ごすリゾートやパーティーシーンに似合う、ゆったりとしたエレガントなシルエットで企画している。
セレクトショップ時代に学んだライフスタイル提案型の見せ方も取り入れ、旗艦店ではサーフボードなどのマリンスポーツ用品も仕入れ商品として扱う。結果、シンガポールだけでなくフィリピン、日本、台湾、韓国にも卸先が広がるなど、アジアで手応えを得た。
現地企業と協力
次の一手として欧州進出を目指し、27年春夏向けのピッティ・イマージネ・ウオモに初出展した。「円安で日本製の服の競争力が上がっただけでなく、世界的に気温が上がってリゾートウェアの需要も高まった」とみての施策だ。
アジアでは現地の市場を熟知した有力店に卸先を絞って成功した経験を踏まえ、イタリアでも地元企業との協力を重視した。現地のエージェントと組むことでブースに有力店のバイヤーやインフルエンサーが集まり商談が盛んに進んだ。ミラノのショールームとの提携や、有力セレクトショップ「ザ・ストア・ミラノ」との取引が決まるなど成果を得た。
特に注目されたのが、スーパー140ウールに特殊加工を施しウォッシャブル機能を持たせた日本製の生地を使ったシャツだ。「上質なとろみや落ち感と機能性を両立した商品に日本の技術を感じる」と好評だった。白化しにくい加工のシルクニットなども引き合いが多かった。

今後はイタリア国内の未進出地域や、フランス、スペイン、イギリスなどでも販路を広げたい考えだ。現地をよく知るパートナーと協力する売り方を継続する。「日本の技術と知識で商品を作り、現地の言葉や文化に合わせて売る。それが勝ち筋になる」と話す。
