東京・渋谷の古着主力「ツナギジャパン」は、オーセンティックで上質な古着と店主の井澤元気さんが手掛けるオリジナルブランドが評判の人気店だ。店名の通り、人のつながりを大切にし、ファッション業界人向けの交流イベントも主催している。
(高塩夏彦)
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二つの夢かなえる
学生時代から古着好きだった井澤さん。30歳までに自分の古着屋を持つと決意し、大手小売りに就職して経験を積んだ。店長などを経験した後、28歳で独立した。

仕入れのノウハウはなく、全てが独学だった。海外買い付けにこだわって欧州に出向き、リサイクルショップやフリーマーケットを回りながらルートを開拓していった。3年ほど経つとユーロの為替が高くなったため、米国での仕入れメインに切り替えた。
「トレンドに関係なく、長く着られる良い服を届けたい」(井澤さん)という思いで商品を選ぶ。そのため、テーラードジャケットやスラックスなどトラッドなアイテムが充実している。そこに珍しいプリントTシャツなど、一癖ある商品が加わるのが特徴だ。
当初は店の知名度もなく苦戦したが、品揃えが評価されて雑誌掲載などが増え、服好きの間で徐々に話題になった。開店から数年経った16年頃には軌道に乗り、もう一つの夢だったオリジナルブランド「ゲンイザワ」 の立ち上げに着手した。
商品企画で重視したのは〝日本らしさ〟をどう出すか。「海外買い付けの先々で日本の魅力について聞かれたが、うまく答えられなかったのが悔しかった」のがきっかけだ。昔ながらの学生服や、レトロなアイドル衣装などをアレンジした攻めたデザインを打ち出し、コアなファンを開拓した。
商品に思い込めて
コロナ禍に転機が訪れた。行動制限で身動きが取れない中「少しでも愛を伝えたい」と考え、古着に〝LOVE〟と刺繍してECで販売したところ、200枚以上が売れた。後に購入者を集めた店舗イベントも開いた。「心のつながり、思い出の大切さを、より意識し始めた」
オリジナルの商品企画の方向性も変化したという。例えば胸ポケットがはがきサイズのドレスシャツには「卒業式などに着て行った際に、大切な人への手紙を入れられるように」という気持ちが込められている。

店と客のつながりだけではなく、業界の横のつながりも作ろうとしている。1年ほど前から店舗を会場に定期開催している「寄り道」は、知り合いの業界人を集めて気軽に交流を楽しむイベントだ。人が人を呼び、店内にあふれかえりそうな人数が集まって会話に花を咲かせている。参加者はセレクトショップや百貨店のバイヤー、デザイナー、販売員、美容師、モデルなど様々。若い業界人が多く、人脈を広げるチャンスとして重宝がられている。

今後はイベントを小さな展示会や受注会、期間限定店の場としても活用できる場に発展させる計画だ。出展は無料。その分、新たな仲間を連れて来て欲しいという。「楽しくおしゃべりして、結果的にこの場から新たなカルチャーが生まれたらうれしい」と話す。
