《淘汰の時代を生き抜くために ファッションビジネスは今、何をすべきか》柳井正ファーストリテイリング会長兼社長に聞く㊤ 変化に沿って新たな仕組み作る
19年8月期も増収増益を果たし、過去最高の業績を達成したファーストリテイリング。売上収益は2兆3000億円に迫り、日本でトップのファッション小売りだ。ユニクロの「ライフウェア=究極の普段着」を「上質な生活のための服」に昇華させ、さらなる事業拡大を目指す。社会や消費者など、ファッションの商売を取り巻く状況が一変した中で、選ばれ、成長を続けるためには何をすべきなのか、柳井正会長兼社長に聞いた。
(柏木均之)
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◆無駄なく作り、売る努力を
猛暑や暖冬、相次ぐ台風の発生など、天候不順に日々の商売が左右された19年。消費者の意識や購買動向も大きく変化したと見る。
サステイナビリティー(持続可能性)に対する関心が高まり、ファッションがより人々の生活に密接に結びついたものになりつつある。一番敏感に反応したのは若い世代で、それに対して揶揄(やゆ)する声もありますが、そんなことを言うのはおかしい。地球、そして我々の商売の根幹にも関わる大きな問題です。
この流れはずっと続く。サステイナビリティーを事業運営の軸にしないと、ファッションという業界自体がなくなることもあり得る。当社も取り組みを強化しています。資源を効率的に使い、無駄なく作る仕組みを実現する技術もあるのだから、業界を挙げてそういう努力をもっとしていかないといけない。
気候変動は世界中で起こっている。日本でも温暖化が関係しているのか、夏の暑い時期が長くなり、春と秋が短くなっている。季節の変化を想定して服を作ると、かえって無駄なものを作ることにもなる。季節を問わず通年着られる服を作って売る仕組みにすることも必要なのではないかと思っています。