政府のマスク着用基準が「推奨」から「個人の判断に委ねる」方針に3月13日から転換した。これを受けて、需要に変化の兆しがあるのがアイウェア業界だ。マスクで顔を隠さなくなったことで、選ばれるデザインが変わるのではないかという見方が、各メーカーから出始めている。また、4~5月の大型連休から旅行需要のさらなる戻りが予想され、サングラスのニーズの高まりも期待されている。
(高塩夏彦)
オリジナル眼鏡ブランド「ベリーナード」を販売するアイウェアメーカーのエダンディ(東京)の江田雄一社長は、デザインにインパクトがあるアイウェアのトレンド化を予想している。「マスクをしていると悪目立ちするので派手なアイウェアを選びたくない人が多かった。今後は反動で、ごつめのデザインや癖のあるアイテムがトレンド化するはず」(江田社長)。
若者で盛り上がるレトロブームもアイウェアのトレンドに影響をもたらしそうだ。江田社長は「ベリーナードらしい、昭和風の眼鏡には追い風」とし、70~80年代風のブリッジがあるデザインの眼鏡(フレーム約2万円、度付きレンズ約6000円から)などの販売を強化していく。
異なる視点の意見もある。ビンテージテイストのアイウェアブランド「クヲンアイウェア」の田辺恭輔ディレクターは、「世間がマスクで顔を隠すことに慣れすぎた。顔に視線が集まるのを嫌って、眼鏡をシンプルにしたいと考える人も多いはず」とみる。顔を見られることを意識した眼鏡の買い替え需要で、同ブランドが得意とするクラシックで上品なデザインのアイウェアの拡販を期待する。
コロナの位置付けが「5類感染症」へ変更になることで外出が本格化し、サングラスのニーズも高まりそうだ。
17年に日本に上陸したロサンゼルス発のサングラス主力のブランド「ローブギャラクシー」は、コンパクトに折り畳める便利なギミックで着実にファンを増やしている。中心は約2万3000~3万円。折り畳めるだけでなく、ネジを使わない特殊な構造により約15グラムと軽量なのも人気の要因だ。
同ブランドは「旅行や外出が増えることで携行性の高いサングラスの需要は増えるはず」とし、大型連休以降の販売強化を見据えている。