【パリ=松井孝予通信員】EU(欧州連合)は、玩具の安全に関する規制を強化することで合意した。29年以降にEU域内で販売される玩具について、PFAS(有機フッ素化合物)やビスフェノール類などの使用が禁止される。
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今回の合意では、内分泌かく乱物質(ホルモンに影響を与える物質)、アレルゲンとなる香料や殺生物剤なども禁止対象に加わった。安全情報を統合したデジタル製品パスポートも導入される予定で、企業には4年半の移行期間が設けられる。
背景には、欧州化学品庁(ECHA)の調査で、玩具の23%が有害物質を基準以上含んでいたというデータがある。特にオンライン販売品の86%が現行の安全基準を満たしておらず、規制の実効性が問われていた。欧州委員会も違反商品の監視体制を強化しており、ネット販売に対する取り締まりが進んでいる。
本来は化学物質の扱いを決めるREACH規則の改正で包括的に対応する予定だったが、それが遅れていることから、先行して玩具分野での個別規制が導入された。
REACHは、テキスタイル、プラスチック、日用品などを対象に化学物質の登録・評価・制限を義務付ける枠組みで、業界ロビーの影響などから改正が先送りされてきた。
フランスでは26年から、衣料品や化粧品など3カテゴリーの製品について、PFASを含む製品の製造・流通などが禁止される。30年からは繊維製品全体に対象が拡大される。