エスパス・ルイ・ヴィトン・ヴェネツィアで、カタリーナ・グロッセのインスタレーション展「アポロ、アポロ」が開かれている。これは先月下旬に開幕した世界最大のアートの祭典、第59回ベネチア・ビエンナーレ国際美術展の公認企画コルテラル・イベント枠の展覧会で、フォンダシオン・ルイ・ヴィトン(FLV)が推進する国際的プロジェクトのプログラム「壁を越えて」の下に企画された。
グロッセは61年にドイツで生まれ、90年代末から絵画制作を始めた。床、壁、天井、さらには風景を取り込んだ色彩が混じり合う壮大な作品は、見る物の感性を揺さぶり混乱させる。本展では流動性のあるメタリックメッシュの生地に鮮烈な合成画像をプリントした創作で、「強制された動きと自由闊達(かったつ)な動きの間」を表現した。ベネチアの水の反射のように、作品の表面は鑑賞者の動きを映し出す。
パリのFLVで今月中旬から開催の企画展では、同フォンダシオンのためにグロッセが制作した未発表の作品が展示される。
(パリ=松井孝予通信員)