《EC担当者座談会》コロナ下で変わる消費者 店舗連携や新たな組織、制度も

2022/02/21 10:58 更新会員限定


座談会出席者のシップスの大塚さん、ウィゴーの園田さん、パルの堀田さん(左から)

 21年も上半期を中心に新型コロナウイルスの影響は大きく、ファッションECの売上高は引き続き拡大基調にあった。コロナ下で消費者の購買行動に変化が生じているなか、ECと実店舗の連携や販売員の活用に加え、新たな組織作りや人材の獲得・育成、評価・報奨制度の整備など、迅速な対応が求められている。

 今回は、ウィゴー、シップス、パルのEC担当者に、コロナ下におけるECの取り組みやその背景、成果や課題などについて話し合ってもらった。

《出席者》

  • ウィゴー 代表取締役社長 園田恭輔さん
  • シップス 営業推進本部本部長 デジタルマーケティング部・CS部・情報システム部 大塚祐史さん
  • パル 執行役員プロモーション推進部部長兼コミュニケーションデザイン室室長兼WEB事業推進室室長 堀田覚さん


動画、販売員に注目

 ――各社のECの現状は。

 堀田 当社には約60のブランドがあり、すべてが自社ブランドです。一部ECのみもありますが、ほとんどが実店舗のあるブランドです。自社EC「パルクローゼット」を中心に、子会社で自社ブランドのECを持っているところもあります。あとは「ゾゾタウン」など外部のモールに出店しています。EC売上高の4割弱が自社ECです。第3四半期連結累計(21年3~11月)のEC売上高は、前年同期比41.2%増。特に自社ECは同62.2%増と好調で、今期(22年2月期)は100億円を超える見込みです。前期もコロナ下で伸び、今期も比較的順調に伸びています。

 園田 ブランド数は、ここ1~2年のうちにインフルエンサーをプロデューサーとする新ブランドが増えましたが、EC売上高の90%以上は主力業態「ウィゴー」が占めています。今期のEC比率は約20%。コロナの影響で実店舗の売り上げが下がっている状態での数字なので、まだまだという評価です。EC売上高に占める自社EC比率は約3割です。

 大塚 当社は5ブランド・4レーベルあります。ECは自社サイト含め9サイト。EC比率は約50%。コロナ以前は約30%でした。

 ――コロナの感染拡大から約2年、ECにおける変化は。

 園田 やはり販売員の情報発信ですかね。ファッションをどこで買うかとなると、買い物がしやすい場所が選ばれる。それはECのUI/UX(ユーザーインターフェイス・ユーザーエクスペリエンス)とかの話ではなくて、普段から買い物しているサイトが実際は一番買い物がしやすいということ。そういう状況のなかで、販売員の情報発信というのは、実店舗との連携という意味では一番のハブになっていると思います。

 情報発信の量は、コロナ前に比べてかなり増やしました。特に20年は色々なことに挑戦しました。成果の明暗がはっきり出た気がします。成果があったのは「スタッフスタート」の販売員のスタイリング投稿ですね。逆に成果がなかったのはユーチューブ。コロナ前から外部の協力も得つつ注力してきたのですが、企業都合の発信には消費者はあまり乗ってこないと痛感しました。やり方次第だとは思うのですが、今のところまだやり方をつかめていません。

 堀田 動画にお客様が注目しているのは間違いないですよね。今一番注目されているのは、インスタグラムの短尺動画配信機能のリールだと思います。ユーチューブは、本当のエンターテイメントとの競争になるので、発信側のハードルがすごく上がる。ストーリー立てて話す技術や個性あるキャラクターも必要となるでしょう。

 園田 継続性や企画力も大事だと感じました。テレビ関係のプロに依頼して制作していたのですが、逆に作り込み過ぎてしまったのか、うまくいきませんでした。

 堀田 それも難しいところですよね。上手、下手ではなく、その人がそのプラットフォームでどれだけ魅力的か、コンテンツの魅力が視聴者にマッチできているか、というのがネットの世界は大事なのかもしれません。ある程度の成功パターンはあるにしても、ユーチューブは難しいと思います。簡単にはバズらない。

 大塚 当社もユーチューブのチャンネルが昔からあったのですが、一昨年から製作に本腰を入れ始めました。私も企画に携わっているのですが、なかなかバズりません。ユーチューブ内に視聴する動画はたくさんあるので、どうやって選ばれるかというところから、すごく難しい。発信側が楽しんで作っていかないと、やるだけで苦しくなってしまいますよね。


シップス 大塚祐史さん

 ――変化に対し、新たに取り組んだことは。

この記事は無料会員限定記事です。

今すぐ無料で会員登録

会員の方はこちらからログイン

関連キーワード会員限定デジタルニュース



この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事