ドーバーストリートマーケットギンザ(DSMG)は、アムステルダムを拠点にする「アプライドアートフォームズ」の販売を始めた。英国のロックバンド「コールドプレイ」のベーシストのガイ・べリーマンがクリエイティブディレクターを担う。服作りへの思いを聞いた。
(聞き手=須田渉美)
ブランドを立ち上げたのは、20年秋冬シーズンです。僕自身はバンドのメンバーとして活動していますが、大学では建築学と工学を学び、何かモノを作りたい思いを持ち続けていたんです。数年前、洋服のデザインやセールスを担当する仲間と出会って、今なら実現できると決心して始めました。
アムステルダムのデザインスタジオには、発想源となるビンテージアイテムが100着近くあります。世界の都市を回って過ごす間に、古着屋などで買い集めたものです。40年代や60年代のミリタリーウェアやワークウェアに加えて、90年代の「ヘルムートラング」の洋服もかなりある。僕にとって愛着のあるものだし、そのスタイルや実用性を借用しながら、新しいスタイルを再構築しています。
心掛けているのは、ハイクオリティーな物作りと、モジュラー型で応用のできるデザイン。一部のパーツをファスナーで付け替えたり、単品のアイテムを重ねて着用するディテールを取り入れたりしながら、長く使える一着を目指しています。
一度作ったアイテムを改良しながら継続していて、永遠に続けるモデルも出てくるかもしれない。毎シーズン、全く新しいコレクションを出し続けるのは、とてもストレスフル。一部、新作も出しながら、コンビネーションでやっていくことが健全だと思う。
日本のクラフトマンシップへの共感もある。ナイロンの高密度織物を使ったフライトジャケットなど、日本製の生地は度々使っています。日本には、物作りをサポートしてくれる友人もいて、「コーデュラ」を使ったカーゴパンツは縫製も日本です。
展示会でDSMGと出合えたのは、本当にハッピーなことだった。ファッションやクラフトマンシップに結びつく日本のカルチャーを発信する場所としてリスペクトしていたし、末永く一緒にやっていきたい。