ドクターデニムホンザワ社長の本澤裕治さんに聞く ジーンズ市場と日本デニムの課題

2023/09/15 13:00 更新


本澤裕治ドクターデニムホンザワ社長

 近年はジーンズブームとされていますが、好調なのは高感度な女性向けの高価格帯ジーンズと若者向けの低価格帯商品で二分されています。経済格差の拡大がジーンズの売れ方にも表れている状況でしょう。

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 同時にジーンズは飽和状態になっていると感じています。国産の高品質なデニムや優れた洗い、加工技術を生かしたトップの企画と販売を強化していくべきです。

 注目しているのはレディスのカジュアルシャツ。2万~3万円台の高価格帯のアイテムが伸びています。ドクターデニムでは既にメーカーズシャツ鎌倉との協業を進めています。国産デニムを使ったデニムシャツや上質なブロードのカジュアルシャツにあえてパッカリングを出したアイテムなどを企画する予定です。価格は1万円台中ごろと、競合ブランドより抑えた価格で打ち出します。

 スタンレーインターナショナルと協業し、デニムにストレッチをきかせることで布帛でありながら裏毛のような着心地にしたスウェット風のトップも販売します。プリントにリアルなビンテージ加工を施すなど国内工場らしい付加価値で勝負します。

スタンレーインターナショナルと協業したスウェット風のデニムトップ

 足元の課題はサステイナブル(持続可能)な取り組みの遅れです。トルコのデニムメーカー、イスコなどはリサイクル素材の使用率が日本国内のメーカーと比べて非常に高い。これでは世界に置いていかれてしまいます。

 また、若年層がジーンズに再注目しているのはいい流れですが、ビジネスウェアのカジュアル化で、ビジネスでもカジュアルでも着られる服が人気になり、大人層がジーンズ離れを起こしています。

 ビジネスシーンにもジーンズを浸透させる提案を進めるべきです。時間がかかりますが、素材やパターンの開発が必要でしょう。



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