23年春夏デビューの「ディー・ナート・アンプタ」(大縫理央)は6月下旬、東京都内で単独のショーを行った。モデルには、ダンサーやラッパーら、多数のクリエイターを招いた。
テーマは「POOLS〝淀(よど)みたち〟」。異なる要素を融合した曲線を、立体のフォルムに落とし込んでいく。袖の膨らみをきれいに出したノーカラーのブルゾンを彩るのは、マーブル柄。背中と前身頃の中央で布を切り替え、肩の縫い目をなくして、淀みを感じる黒みがかったマーブル柄を強調する。ショートパンツを合わせ、さっそうと見せた。さまざまなパープルが重なり合ってダイナミックにうねるテーラードジャケットは、オーガンディをプリーツ状に縮めてパッチワーク風に切り替える。
デザイナーの大縫理央は「人体構造が織りなす曲線美」をコンセプトの一つに掲げている。立体裁断のパターン、ディテールの細かさなど、一点一点のテクニックには光るものがある。ただ、いろんな要素が詰まっていて、伝えたいイメージが見えづらい。コレクションとして見せるなら、使う素材を整理しながらストーリー性を作っていくことも大事だろう。
(須田渉美)