上席執行役員からの大抜擢(ばってき)。香港出張中に電話で打診された際は、「自分が取締役ですらなかったため、まったく想定外のことで絶句した」という。
92年に新卒採用で入社し、デサント一筋31年。中国でのビジネス経験が長く、05年から通算12年間、駐在した。13年には連結子会社で、中国ビジネスの中核企業である上海デサント商業の総経理に就任。「マンシングウェア」「アリーナ」ブランドの商品企画・生産・卸売り・小売り事業を統括した。
帰国した18年以降は、「ルコックスポルティフ」とアリーナブランドの日・中・韓の総責任者となった。「無駄なモノを作るな」という小関秀一デサント社長の大号令の下、20年に始まった日本事業の構造改革では、社員の意識改革に努め、収益性の向上に尽力。22年度(23年3月期)には18年度に比べて、日本事業の商品在庫は36%改善し、返品・値引き率も半減。大幅増益に貢献した。ただ本人としては、「まだ改善できる。今後は読みの精度を高め、プロパーでもっと売れるようにしたい」と貪欲(どんよく)だ。
当面の課題は、ブランディングの強化。「品質と品位を備えた日本製の物作りを強み」に、付加価値の高い製品を作り、特に「デサント」ブランドのプレミアム化を強力に推し進める。
妻と二人暮らし。趣味は旅行。地方を巡り気に入った温泉などを見つけてリピートしている。54歳。
(潤)