《デニムいろいろ物語-2》 あの色落ちを生む方法、と多彩な仲間

2017/02/26 06:00 更新


前回、デニムについて学びました。厚くて丈夫な綾織物の代表で、インディゴ(藍)染めの糸を経に使うのが、ポイントでしたね。このデニム独特の糸染め(先染め)の主な方法をロープ染色(rope dyeing)と言います。

デニム製品の話題の中で、よく中白(なかじろ)という言葉を聞きますね。これは、経糸のインディゴが中心部までは達していないことを指しています。糸の真ん中の芯部分が白いために、デニム製品を使い込んでいくと、濃いブルーの色が落ちて白っぽくなり、それが味わい深いというわけです。

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図が糸の断面図だと仮定すると、真ん中の芯部分が白い。着ているうちに外側の色が落ちて、中の部分が外側に見えるのが、デニムの色落ち現象だ

■色落ちは“なかじろ”のなせる業

この風合いに、ロープ染色が関わっています。何本かロープ状に束ねた綿糸をインディゴ染料に浸しては、空気に触れさせるという作業を繰り返します。いわゆる酸化と還元の作用で、束ねられた糸の芯までは染料や空気がなかなか届かず、中白に仕上がるという仕組みです。

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藍染めの工程の一つ、藍だての様子(徳島県の本藍染矢野工場)

この染色に使うインディゴは現在、ほとんどが合成したインディゴ染料で、いわゆる本藍とは異なります。植物としての藍は多様で、古くから世界中に生息したと言われます。それが麻や綿など植物系の糸・織物を中心に、染色に利用され、人々を彩ってきました。天然の藍から染料を作る過程は、発酵という反応を利用した人類の知恵です。日本も藍染め技術に長け、その文化が世界に誇るデニム作りの土壌にもなりました。

■仲間その1、ダンガリー

ここまでデニムに触れてきましたが、よく似た綾織りにダンガリー(dungaree)があります。

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これは、糸の配置がデニムと逆で、経糸が白の晒(さら)し糸、緯糸が色糸です。織物の外観・風合いは経糸の影響が強いので、ダンガリーはデニムより白っぽく見えることになりますね。デニムが厚地で、11~14オンス前後が一般的なのに対して、ダンガリーは6~8オンスくらいの薄手の綾織りを指します。このため、パンツ類よりも、主にシャツなどに使われることが多いです。

ちなみに、この名前は、インドのボンベイ(現ムンバイ)市のダングリ(Dungri)地区で織られていたことに由来するとされています。

■仲間その2、シャンブレー

このダンガリーと時々、混同される織物に、シャンブレー(chambray)があります。こちらは、経糸に先染めの糸、緯糸が白の晒し糸を使う平織りなので、組織の構造が違うことがわかりますね。シャンブレーは2色の糸が光の加減で色調を変えるため、〝玉虫〟効果のある織物と言えます。



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