1923年9月2日は英文学者、厨川白村(くりやがわ・はくそん)が世を去った日です。1880年11月19日に京都に生まれ、本名は厨川辰夫。当時住んでいた鎌倉で、関東大震災の影響から命を落としたのです。
秀才で、いくつかの学校を経て東大の英文科に入っています。優れた英文科者で、晩年は京大の英文科教授でした。幼友達に阪倉篤太郎という人がいた。厨川に招かれて鎌倉の自宅を訪ねています。1923年8月27日のこと。2人は散歩して食事をしています。そのすぐ後、関東大震災に遭うわけです。
17年ごろの厨川の写真が残っています。それは美事な、完璧なディナージャケットの着こなしとして。大正時代に活躍した英文学者としては、第一級のダンディーであった人物です。(服飾評論家・出石尚三)