【今日は何の日?】カフスボタンと銀製のボールペン

2017/08/08 04:26 更新


 1908年8月8日は、欧米文学、ジャズ、映画評論家の植草甚一の生まれた日です。この日、東京・日本橋に生を受けています。実家は大きな木綿問屋だったとか。映画と、散歩とコーヒーが好きだった人物。映画は幼少の頃から近所の映画館「水天館」に見に行ったそうです。若い時、コーヒー好きが高じて一時期、喫茶店を開いていたこともあるとか。そんなことから、コーヒーについての随筆も随分書いています。

 昭和のはじめ、池袋にあったメリヤス屋の「藤幸」に勤めています。今でいうニットメーカー。そこでの主な仕事は外国雑誌の翻訳。だから30年代の婦人服の流行には詳しかったようです。毎日のように、『ヴォーグ』や『バザー』を読んでいたのですから。

 1974年に書いたエッセーに、『着るもの、はくもの、使うもの』があります。この中に「ちいさな店構えだがウィンドーにカフス・ボタンのいいのがあって、そのそばに置いてあった銀製のボールペンがいかにもフランス式なデザインで何ともいえない気持ちになった。」それはギ・ラロッシュのデザイン。カフス・リンクスとボールペンとがお揃いになっているのでしょう。値段が1万2600円でお買い上げ。まあ、そんな風にして原稿を書いていたのでしょう。(服飾評論家・出石尚三)


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