総合人材サービスのパーソルキャリアが運営するファッション・アパレル業界専門の転職支援サービス「クリーデンス」の調査によると、同業界の22年7~9月の「転職求人倍率」は2.4倍(4~6月比0.6ポイント増)となった。20年10月の調査開始以来、初めて2倍を超え、全職種で2倍を上回った。マーケティングを除く全職種で転職求人倍率が上昇し、コロナ禍前の転職希望者優位の状態に戻ったと分析している。
今回は夏物セールと秋冬物の立ち上がり時期が重なったことから、転職活動を控える人が増えて登録者数が減少。一方で企業は引き続き即戦力重視の採用を行っているため、転職者の採用活動が長期化。新規求人数は前3カ月比で10.8%減少したものの、登録者数が減り、採用活動が長期化した結果、転職求人倍率が大幅に上昇した。
職種別に見ると、販売職は転職求人倍率が0.9ポイント増の2.8倍となった。入国規制の大幅な緩和が予想されたことと、歴史的な円安を背景に、インバウンド(訪日外国人)需要の回復を見込む企業が増加。ラグジュアリーブランドを中心に、来年以降の新規出店計画を見越して販売員の採用を活発化している。外国語を話せる人材など「即戦力となる人材は引く手あまたの状態」が続く。
円安の影響で、OEM(相手先ブランドによる生産)企業では、素材や物流費の上昇を背景に想定を上回る経費がかかる事例が増え、メーカーとの調整を行う営業職の採用が増加傾向。国内アパレルでは、海外への卸売りの促進を目的に海外に向けたSNSの発信を強める企業が増え、販促職で海外向けSNS担当や、英語や中国語のできる人材の需要が増加。ECも、国内主体から越境ECによる海外進出を狙う企業が増加傾向で、海外モール出店経験のある人材の需要が高まりつつある。