地方自治体と民間企業が連携し、地域の諸問題を解決する連携協定が増えている。大企業だけでなく、最近は中小、小規模事業者が参入する例が目立つ。企業にとっては単独では難しい事業が取り組めたり、地域発の形でブランドや企業姿勢を知ってもらう効果も見込めるという。自治体からは情報発信力のある企業との提携に期待する声が出ている。
(古川富雄)
信用、信頼につながる
官民連携の代表的な例である連携協定は、分野を限定しない総合的な包括連携協定と、特定事業に絞った事業連携協定がある。
国産ビーチサンダルメーカー、TSUKUMO(東京)は3月、神戸市長田区と事業連携協定を結んだ。TSUKUMOの中島広行社長は「ビーチサンダルは日本・長田発祥で、いつか長田がビーチサンダルの産地として復活することを目標に事業を続けてきた。ただ、自社だけでは限界があり、地域や他の企業を巻き込むことができないかと考えていた時、長田区役所と出会うことができた」と話す。
一方、長田区は「長田はもともと物作り、靴の街だが、阪神・淡路大震災の影響を大きく受け、新型コロナの影響もあり、物作りの街としての存在感が薄れてきた。ビーチサンダル発祥の地として長田をPRすれば知名度が上がり、物作り現場を盛り上げられると考えた」としている。