フランスのラグジュアリーブランドが所属する仏文化機関のコルベール委員会ジャパンは、未来の文化とアーティスト育成を目的に東京芸術大学とともに進める共同プロジェクト「コミテコルベール・アワード2018」の優秀作品3点を発表した。
「現代における人と自然」をテーマに、芸大生が作品を制作した。優秀作品は、9月の1次審査を経た12作品の中から選ばれた。
1点目は岡﨑龍之祐さんによる「祈纏」。祈りを込めて作られる折り鶴の再生紙に絵を描き、細く切り、こよりにして、一体の服を作った。細かい模様と滑らかなフォルムから丁寧な仕事が伝わってくる。
2点目は松本幹子さんによる「Happiness cannot exist in dots」。賽(さい)の河原のように石を積んだ作品群の一部分に、燃える花のアニメーションを映した。きれいなユリが静かに燃えていく様子には希望と絶望が重なり合っている。
3点目は、高本夏実さんによる「Anima」。座面から突起が出ている椅子や扉を開けることができない戸棚など、使うことができない家具を制作した。人と自然(家具に使われる樹木)の主従関係を壊し、自然に翻弄される人間のディストピアを描いているという。
これらの作品は、1次審査を通過した12人の作品とともに、東京芸術大学大学美術館本館・展示室2で28日まで展示されている。
同プロジェクトは、14年から17年にかけて行われたアーティスト育成プロジェクト「2074、夢の世界」の後継企画。2074、夢の世界では、支援を受けた50組の芸大生による作品の展覧会を行い、優秀作品などを国際コンテンポラリーアートフェアFIACで展示した。今回はエルメスやシャネル、ルイ・ヴィトンなど19のブランドが同プロジェクトの制作をサポートしており、今後は20年までプロジェクトの継続が決まっている。