クリーニング店の上手な使い方

2017/10/08 04:30 更新


洋服に使われる素材が多様化し、日々様々な素材が店頭に並んでいます。

生産時に考慮されていた用途とは異なる形で素材は商品化され、お手入れが家庭洗濯だけではまかないきれない、さらにはクリーニング店でも対応しきれないといった事態になっています。

そこで、「クリーニング店の上手な使い方」について、東京都のクリーニング生活衛生同業組合の方に、お話を伺いしました。


■着用前?着用後?いつ出すの?

――クリーニングにはどのタイミングで出すべきなのでしょうか?

一般的に多いのは、シーズンでの着用が終わってすぐに出すという方です。しかし、シーズン始めの着用直前に出す、という方もいますね。

基本的には、汚れたまま収納するのはNG。なので、着用が終わってすぐに汚れをキチンと落としてから収納する様にしましょう。


■お店の選び方ってある?

――クリーニング店の上手な選び方はありますか?

クリーニングにも「流派」があるんです。師匠と弟子の関係があったり、しみ抜き技術が得意なところ、ドレスクリーニングに力を入れているところ、などそれぞれ得意とする分野を持っています。

業界全体の高齢化が進んでいることもあり、ウェブページなどでの自店の情報が公開出来ていないお店が多いです。大事な洋服をクリーニングに出したい時には、一度、近所のお店の店主に相談してみる事をお勧めします。



■チェーンか個人店、どう違うの?

――チェーンと個人店、どちらがいいのでしょう?

チェーン店は価格が安めで、個人経営のお店はやや高め、というのが一般的な認識だと思いますが、個人経営の店主は意識が高い職人気質な方が多いと言えます。

正直、ここ営業しているの?と言った様な寂(すた)れた店構えのお店も結構多いですが、そういうところは、昔ながらの御用聞き(顧客のお宅まで取りに行き、またお届けする)が主な収入源になっていることが多く、店構えで判断をするのは早計です。

少し近寄りがたかったりしますが、個人経営のお店の方が、知識や技術の面では優れているケースが多いと感じます。


■意外なクリーニング店の使い方は?

――実は!なクリーニング店の裏ワザ教えてください?

ニット素材製品で、家庭洗濯で縮んでしまった、着用で袖が伸びてしまったなどの問題は、クリーニング店の技術によって多少元に戻せる場合があります。特に天然繊維素材は、元に戻せる可能性が高いです。

クリーニング店は、衣服の病院的なイメージで相談に応えてくれることが多いですよ。もしそのお店が対応できない場合でも、その分野が得意な他の店舗を紹介してくれる事もあります。



■トラブルに注意!意識を持って

――クリーニングによるトラブルって多いですか?

最近特に、素材の多様化によるトラブルの発生をよく耳にします。

衣服向けに開発されていない素材を使用した商品がとても増え、その認識なしに購入した消費者が「とりあえずクリーニングに出せばいいや」という感覚で、クリーニング店に持ち込むケースがとても増えているのです。

プロに任せるので問題ない、と考えがちですが、例えば、店頭に知識の乏しいスタッフがいた場合や、精通したスタッフが対応した場合でも、お客さんとの意思疎通が上手く出来なかったことで、仕上がりがイメージと違って、取り返しのつかない事態に陥る、といったケースが発生しています。

特殊なお手入れが必要な商品に関しては、購入時に販売員さんから消費者に伝えてもらうのが1番スマートな情報伝達方法ですが、ネット通販などではそうはいきませんよね。そのあたりにも、トラブルが増えている背景です。



■流行のベロア、上手な取扱い方法は?

――今季流行したベロア。シーズンもそろそろ終盤ですが、上手な取扱い方法はありますか?

ベロアや別珍といった毛があるものは、座ったり、バックなどが当たる箇所などで、毛が寝てしまいます。

綿や絹などの天然繊維が原料だと比較的直しやすいですが、アセテートやレーヨンなどの合繊繊維だとほぼ直りません。

対策としては、お風呂場などの、湿気が多い場所に一晩つるしたあとブラッシングすれば元に戻ることが多いです。収納する際は、重ねたり、引き出しなどにぎゅうぎゅうに押し込んだりするのは絶対にNGです。


いかがでしたか?

大切な洋服こそ、しっかり選んでクリーニング店でお手入れしてあげましょう。



この記事に関連する記事