IFFに内モンゴル、カシミヤ活性化へ

2016/04/22 13:48 更新


 中国内モンゴル自治区のカシミヤ産業が官民一体となって、カシミヤ活性化策に乗り出している。自治区政府はカシミヤ産業の高度化・近代化、カシミヤ製品の品質安定化と向上、カシミヤ企業の経営管理システム先進化のための支援策を推進。カシミヤ業界は業界団体を組織して、国際的な品質認証、日本など世界の先進的なカシミヤ産業国との業界、企業同士の交流促進を行う。4月26~28日に東京で開かれるJFWインターナショナル・ファッション・フェア(JFW‐IFF)に出展する。

 JFW‐IFFで、中国以外では初めて8社による「内モンゴルカシミヤパビリオン」を設ける。同自治区農牧畜庁や新たに組織した内蒙古カシミヤ協会が、その活動や趣旨を説明するセミナー、交流会も開催する。

 内モンゴルはカシミヤ原毛の生産高が年間8000㌧で、中国カシミヤの70%を占める、世界最大のカシミヤ生産地。しかし10年前には資源や不動産など他産業の振興、放牧地の環境保護を目的に、カシミヤ産業は奨励業種から制限業種に移行した。その後の10年間は、寧夏など中国他地域に初期加工から製品化のカシミヤ産業が移動し、内モンゴルカシミヤ産業は停滞した。このため14年から、政府や関係業界内で、「カシミヤが競争力ある資源であり、成長産業になる」との認識から見直しが始まった。


 カシミヤ産業を管轄する農牧畜庁は、昨年から①カシミヤ業界を組織して官民一体となった活動推進②有力企業の経営近代化・先進化支援のため日本などカシミヤ先進国業界の管理システム導入③このための産業交流の強化――の振興策をスタートした。併せて、オルドスなど自治区4カ所の生産地を拠点として定め、「国際的な管理基準、競争ルールに則った」成長を目指すことも決めた。


 この政策に沿って昨年、農牧畜中央団体内に内蒙古カシミヤ協会を発足した。同協会は①内モンゴルカシミヤ資源の保護・育成②国際市場に向けて「内蒙古カシミヤ」をブランドとして商標登録③協会としての品質認証基準を認定、透明度を高めた原料、製品を世界市場に販売④カシミヤ産地の原毛管理技術の向上⑤先進的な設備、技術の構築――を進める。また、官民一体となって、「内モンゴルカシミヤは当地の文化の一つである」としてカシミヤ文化も世界に発信する。

 同協会は国際交流の手始めとして、日本をカシミヤ産業の先進地、有力な販売市場として位置付け、活動の重点とする。このため初の外国事務所を日本に設けた。

 郭健内モンゴル自治区農牧畜庁長官は「カシミヤ産業は内蒙古の経済発展に欠かせない産業。各カシミヤ企業とともに、今回のJFW‐IFF参加を通じて、新たな中国と日本のカシミヤビジネス成長モデルを構築したい」としている。



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