年の瀬恒例、繊研プラスのユーザー(読者)が選んだ2016年の業界版流行語大賞「ファッションバズワード2016」が決まりました! 今年はファッション市場が全般に低迷していることもあり、これといったアイテム名は登場せず、ビジネス用語やインターネットを通じたサービス名が多くランクインしました。
2016年に繊研プラスに掲載された記事や流入検索ワード、記事ランキングなどから10のワードをノミネートし、メルマガ会員およびサイトの一般ユーザーから投票してもらいました(投票期間は2016年12月3日~12月8日の6日間)。
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☆カップル、親子、夫婦間…「リンクコーデ」
トップ10の下位2つのワードは同数で並びました。まずは「リンクコーデ」。カップルや夫婦、親子間などで、テーストなどを合わせたコーディネートのことで、昔の「ペアルック」のように同じ服を着用するのとは異なり、センスが問われます。
☆ファッション×テクノロジー…「ファッションテック」
もうひとつは「ファッションテック」。文字通り、ファッションとテクノロジーを掛けあわせた造語で、テクノロジーを活用してファッション業界を活性化させることを目的としています。新しい商品やサービスを指しますが、対象は広範にわたります。
☆費用対効果に厳しい目…「コスパ(服)」
8位は「コスパ(服)」。コストパフォーマンスの略で、投じた費用と、それによって得られるものとの割合を指し、費用対効果とも換言できます。「高い」「低い」で評価しますが、当然注目を集めるのは高いもの。
洋服好きの若年層は、かつてと異なり通信費などがかさんで可処分所得が限られるだけに、「費用対効果」は重要な指標となるわけです。
☆SNSを活用してなんでもシェア…「シェアリングエコノミー」
6位は「シェアリングエコノミー」が選ばれました。総務省の定義によると、個人が保有する遊休資産(無形のものも含む)の貸出しを仲介するサービスで、貸主は遊休資産の活用による収入、借主は所有することなく利用ができるというメリットがあります。
貸し借りを成立させる担保は、ソーシャルメディアの活用です。ファッション業界では、「エアークロゼット」や「サスティナ」など定額のレンタルサービスが知られています。「資本主義から?への萌芽かも!!」(60代/男性/広報・宣伝・販促)とのコメントが。
☆フェアトレードや社会貢献に高い関心…「エシカル」
続いても同数で5位が2つ。まずは「エシカル」。「倫理的」「道徳上」という意味の形容詞で、倫理的活動を「エシカル○○」と表現することが多く、ファッション業界においては、フェアトレード(公正な取引)の推進やオーガニック素材の採用、ビジネスを通じた社会貢献活動なども含まれます。
「売り方ではなく、商品のクオリティーや進化の方向性に注目が集まることを望んでいる」(40代/男性/商品企画)、「実際 日常の中で常に意識している人は、どの位いるのだろうか?」(60代/男性/バイヤー)などのコメントが寄せられました。
☆贅沢なキャンピング…「グランピング」
日本では全く新しいワードとして広まった「グランピング」が同じく5位。グラマラスとキャンピングを合わせた造語で、贅沢で快適な宿泊設備を備えた野営を意味します。
普通のキャンプではない、バスやトイレや空調、ゆったり座れるソファやベッドなども備えます。ホテルのような快適な設備で自然を楽しめるわけです。
「自然と共存する感覚を残しながらも、今までの”キャンプ”のイメージを変えた企画センスはさすがと思います」(50代/女性/商品企画)。
☆不特定多数からの資金調達…「クラウドファンディング」
4位に座ったのが「クラウドファンディング」。群集(クラウド)と資金調達(ファンディング)を組み合わせた造語で、不特定多数の人がインターネット経由等でクリエイターや起業家に財源の提供や協力などを行うことを指します。
大きく分けて「寄付型」(リターンなし)「金融型」(金銭的なリターン)「購入型」(物品や権利のリターン)の3つに分けられますが、国内では金融商品取引法の規制もあり、ほとんどが購入型です。大手企業がテストマーケティングに使うことも増えています。
さて、いよいよトップ3です。
☆無料の画像共有ソフトがデフォルトに…「インスタ(映え)」
第3位に選ばれたのは、「インスタ(映え)」です。SNSのなかでは、ツイッターやフェイスブックを人気の面で一気に抜き去ったインスタグラムは、無料の画像共有ソフト。編集(フィルター)により、画像をお洒落にできることからファッション業界人のなかでもデフォルトの位置を占め、ビジネスにも活用され始めています。
情報ツールとしてのインスタとって(インスタ映え)は大変重要と考えています。アップするタイミングはもちろんですが視覚に訴える見映えはシンプル且つ憧れ感など全てを一瞬で伝えなければすぐにスクロールされてしまいます(40代/男性/MD)
仕掛けではなく、ユーザーからの派生が面白い。服やモノにとどまらず、コトやサービスなどあらゆる方面でこれが重要になってくるのでは?(50代/女性/その他)。
今年と言わずファッションにとってインスタは不可欠なツールではないでしょうか?(20代/男性/商品企画)。
さて、第2位は...
☆11月の第4金曜日はショッピングのお祭り…「ブラックフライデー」
「ブラックフライデー」でした。聞きなれない言葉でしたが、直近のイベントだったこともあってか票を集めました。
アメリカで、11月の第4木曜日の感謝祭の翌日の金曜日、つまり11月の第4金曜日のことで、この日から年間で最大の商戦であるクリスマス・セール(年末商戦)が始まります。
ブラックフライデー当日は、感謝祭ギフトの売れ残りセール一掃セールのため、買い物客が殺到し、不振な小売店でも大きく黒字(ブラック)になると言われます。アメリカの小売業界では1年で最も売り上げを見込める日だそう。
日本では、今年から大きくクローズアップされ、大手小売業も始めました。コメントも多数寄せられました。
この言葉の流通を機に、日本の経済がさらにまわることを祈っての選びました(20代/男性/接客・販売)
今後ブラックフライデーが、日本で本当に定着するのかが、非常に気になります。今年の自社での結果を見ると、ニュースなどで報道されているほどの効果はなく、肩透かしをくった感じでした(50代/男性/MD)
新たなイベントに期待したい!(50代/男性/会社役員)
仕掛け次第で売上がたつということを実証してしめたことは、まだまだやり方が甘いと実感しました。辛い時代ですがピンチをチャンスに転換できるよう現場から新しい方法論も提案していきたいと思います(本社ももう少し頭を柔軟にして頂けるとありがたいのですが…)(40代/女性/接客・販売)
やや下品なイメージだが、黒背景×セールのインパクト大!(30代/男性/その他)
"今年までは一部の企業のみの参加だったが、メディアに大きく取り上げられ、一般認知度が上がり、来年以降、行政から企業への依頼もあり、日本独自の進化を遂げて定着していくと思われる。
今年は正に、その起点となる記念すべき年となったので(40代/女性/接客・販売)
秋冬のプロパー販売時期が短い中、ハロウイーンの様に売り上げに繋がる 盛り上げネタの1つとしては良いのではないかと思います(40代/女性/デザイナー)
ファッション業界の外の人なのですが、聞いたことあるなと思ったのはブラックフライデーだけでした。他の候補は、へーってかんじで新鮮でした。来週の解説を楽しみにしています(30代/男性経理・会計・財務)
さて、いよいよ第1位の発表です。業界らしいバズワードが選ばれました。
....「抜け感」です。
商品やスタイリングで、肩に力の入っていない自然なお洒落さ、と言った曖昧なニュアンスですが、シャツの袖をまくって手首を見せたり、パンプスの素肌面を広くするなど肌をみせることで、バランスのよい「隙間」=抜けをつくります。今の気分にぴったりということでしょうか。
抜け感が出るようにと何回も聞いた(20代/女性/商品企画)
軽いニュアンスで表現できるところが良かった(20代/女性/接客・販売)
頭皮が寂しくなってきた方は敏感に反応したのでは(笑)(40代/男性/総務・人事)
いかがでしたでしょうか。2016年は年間を通して消費が低迷したこともあり、正直、バズった言葉はファッション業界からはあまり出てきませんでした。来年は、バズるワードがどんどん湧き上がるような活況を期待したいですね。