有力セレクトショップと百貨店のバイヤーに、17年春夏の注目ブランドとトレンドキーワード、売れると予想するアイテムや強化する商品を聞いた。ストリートの要素やファッションの楽しさを感じさせるブランドに注目し、装飾や春夏らしい色・柄を積極的に取り入れる動きも目立つ。アイテムでは軽い羽織り物やワイドボトム、シャツなど前シーズンからの継続が多いが、フェミニンな見え方などその表現は変化している。
◇ウェアラブルなアウター充実
エストネーション 高橋千晶さん
【1】 発注した海外デザイナーブランドベストスリーとその理由
「バレンシアガ」ツーウェー、スリーウェーに着られるアイテムやベッドマットのバッグなど、一つひとつに独自の視点とアイデアが盛り込まれていた。16年秋冬のインパクトから落ち着くかと思ったが圧巻。リアルとエンターテインメントの両極だが、ファッションの楽しい一面を見られた。
「ドリス・ヴァン・ノッテン」古きよき時代のクチュールも感じられつつ、現代のバランスで様々なコントラストが美しい。リアリティーがあり、着る人の幅も広い。日本へのリスペクトにも感動した。
「ソニア・リキエル」ハートフル。ブランドアイコンのマルチカラーのストライプニットやファーなど、ショールック以外でもすばらしいアイテムがあった。
【2】 注目のトレンドキーワード
80、90年代インスピレーション、フィーチャー・オブ・ストリート、ビクトリアンディテール、ミリタリー/ユニフォーム、メキシコ~カリビアン・シー・カラー&エッセンス、ストライプ。
【3】 買い付けのポイント、昨年と変えた点
羽織り系ブルゾンを意識して調達。ウェアラブルな軽めのアウターのニーズが高まっているのがその背景。ジャンプスーツ、ショートパンツは復活。長い夏を乗り切る4月供給の商品(価格安め)も入れる。英国ブランドは為替の関係もあり力を入れる。
【4】 売れると見込むアイテム
ブルゾンはミリタリー、デニム、ジップアップ。ナイロン系コート、ストライプシャツ、ニット、パンツ。ボリュームパンツ&スカート(フルレングス)、ロゴアイテム、ジャンプスーツ、フラワー柄。
【5】 新規で買い付ける期待ブランド
「アミリ」(米)、「コシェ」(仏)、「アールト」(仏)
◇欲望かなえるラインアップ
リステア 柴田麻衣子さん
【1】 発注した海外デザイナーブランドベストスリーとその理由
「バレンシアガ」ラグジュアリーブランドで、こんなにも物欲をかき立てられるレザーグッズがあるのはまれ。ベッドのマットレスのようなバッグからクッションに使えそうなバッグ、前回から引き続きのお土産バッグ。エラスティックとドッキングした靴、サングラスのレンズを使ったアクセなど、人をひきつけるラインアップ。
「ステラ・マッカートニー」ハッピーで前向きな気持ちにしてくれる。エンターテインメント的にもコマーシャルの視点でも満足。動物愛護や環境保護のメッセージも重苦しくなく、ウェアラブルなメッセージ性と程良いストリート感が気分。
「プロエンザ・スクーラー」これまで以上にパワフル。揺れるヘムや力強い色使い、ロンTと半袖Tを重ねるなどのストリートな要素がちらほら。ハンドニットなどテクニックはラグジュアリーなところも大人心をくすぐる。
【2】 注目のトレンドキーワード
脱構築、マキシマリズム(ミニマリズムの反対、装飾性)。
【3】 買い付けのポイント、昨年と変えた点
自由な発想で世界中から注目すべきブランドを幅広く取り揃えた。インディペンデントで大人の女性をターゲットにしつつ、日本には未進出や、おしゃれですてきでいたい欲望を叶えるラインアップ。結果的に東欧のブランドが増えた。価格帯も幅広い。装飾性を楽しめるよう、アクセサリーもかなり増やした。
【4】 売れると見込むアイテム
バレンシアガの新作バッグ、ワンショルダー、ラッフル、大きめイヤリング、ブランドロゴもの。
【5】 新規で買い付ける期待ブランド
「A.W.A.K.E.」(ロシア)、「エラリー」(オーストラリア)、「クセニア・シュナイダー」(ウクライナ)、「マグダ・ブトリム」(ポーランド)など。
続きは繊研新聞(2016年11月10日付10面)をご覧ください