84年4月、私は、社会人1年目をキッコーマンでスタートさせました。
マーケティング部に3年半在籍し、役員会議の資料作成や製品カタログ作りを担当した後、大阪支店の量販課というスーパーマーケットを顧客とする営業部署に転勤になりました。
ある金曜日の午後、担当するスーパーのバイヤーから電話がありました。「土曜日の目玉特売のチラシにキッコーマン濃口醤油1リットルを載せたのに発注し忘れたから、奈良県のお店に100㌜持って行ってほしい」と。
同じ課の後輩3人に応援を頼んで金曜日のうちに倉庫まで商品を取りに行き、翌朝、営業車4台を連ねてお店に届け、店頭に陳列しました。さて、開店からどんな売れ行きをするのか興味津々で見ていたのですが、お客様が殺到し、キッコーマン醤油は100ケース分、1500本が1時間も経たずに完売。一方で、特売価格でさらに30円も安く設定されていたライバル社のものは、な、なんと、3本しか売れなかったのです。
「これがキッコーマンのブランド力かぁ~」と鳥肌が立つくらいに感動し、今でもハッキリ覚えている出来事です。
(島田商事代表取締役社長 島田晋宏)
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「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。