【ミラノ=高橋恵通信員】イタリア現地通信社などが、イタリアの老舗帽子メーカー、ボルサリーノ・ジュセッペ・エ・フラテッリ(ピエモンテ州アレッサンドリア県)が倒産手続きの申請に入ったと報じた。同社の経営権を握るイタリアの投資会社アエレス・エクイタ(同)がアレッサンドリア地方裁判所に提出した、資産売却などによる債権者への返済や事業計画書などを含む破産回避のための申請書が、同裁判所により棄却された。
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1857年の創業以来、映画スターらに愛されてきた「ボルサリーノ」の没落は、前経営者マルコ・マレンコ氏が、80を超えるエネルギー会社やボルサリーノ社などの経営において35億 ユーロ の巨額な債務を抱えたことに始まる。その債務は秘匿されていたが、2015年、マレンコ氏の脱税と詐欺罪による逮捕と共に公にされた。2015年からイタリアの投資会社アエレス・エクイタがボルサリーノ社とリース契約し、実際の経営権を握った。17年は1700万 ユーロ の売り上げが見込まれている。
アエレス・エクイタは公的文書で、「この倒産宣告はボルサリーノの経営面から生じたものではなく、技術的、法的な問題に基づいたもの。現在の経営は好調であり、製造販売も続いている」とし、同社のフィリップ・カンペーロ代表は、現地メディアに対し「この歴史あるブランドの存続、そして投資家、従業員、顧客、地域などのために、今後も解決策を探し求めていく」と語った。
同社のボルサリーノ社リース契約は、倒産宣告と同時に自動的に破棄されるものではない。今後、契約譲渡の入札が行われる可能性は皆無とはいえないが、現在のところ、160年の歴史を刻むブランド存続の道を探る方針を示唆した。