1872年8月21日は英国のイラストレーター、ビアズリーの生まれた日です。オーブリー・ビンセント・ビアズリーはこの日、ブライトンのバッキンガム通り12番地に生をうけています。
幼少の頃から絵を描きはじめていますが、主に独学だったそうです。1891年7月12日。女優の姉、メイベルとふたりで画家のバーン・ジョーンズのアトリエを訪ねています。ジョーンズはビアズリーの絵を見て絶賛しています。おそらく、このことで本気で絵に進む気持ちになったのでしょう。ビアズリー、18歳の時のこと。
この時偶然、作家のオスカー・ワイルドに会ったようです。後にワイルドの『サロメ』に、ビアズリーが絵を添えたのは言うまでもありません。『サロメ』がビアズリーの代表作となったことは当然として、英国世紀末の空気を表す絵師であったことは、もちろんです。
ワイルドの名言のひとつに「私は、襟穴に花を挿してからでないと、食欲が湧かない」というのがあります。いわゆるブートニエール(男性が礼服の上着に用いる花飾り)のこと。彼は朝服を着ると、ブートニエールを挿す習慣だったのでしょう。(服飾評論家・出石尚三)