旭蝶繊維 早稲田大とアシストスーツを開発

2018/10/25 10:59 更新


 ユニフォームメーカーの旭蝶繊維(広島県府中市)は早稲田大学理工学術院の田中英一郎教授の研究グループと共同で、作業労働者の腰や腕の負担を軽減するアシストスーツ「イージーアップ」を開発した。モーターなどのアクチュエーター(駆動装置)を使わず伸縮布やゴムベルトなどを用いたスーツで、軽量で装着のしやすさが特徴。工場の生産ラインや物流、農業、介護など幅広い分野での利用が可能だ。19年1月から旭蝶繊維が販売開始する。

 厚生労働省が発表した「17年業務上疾病発生状況等調査」によると、業務上疾病全体のうち腰痛は約6割を占めている。これまで腰の負担を軽減する各種装置が製品化されてきたが、駆動装置による重量が大きく、長時間の着用が困難、着脱に時間が掛かるなど課題も多かった。

 イージーアップは背部に位置する長さの異なる2層の四角い伸縮布とそこから両腕、両足に伸びるゴムベルトが持ち上げ動作時に収縮し、筋活動を補助する仕組み。

 この2層の四角い伸縮布の作用により、腰の屈曲の度合いに応じて段階的に強い筋活動への補助力がはたらくほか、腰をひねるなど非対称動作にも柔軟に対応する。

 同研究グループの予備実験では、持ち上げ動作時の上腕二頭筋と脊柱起立筋の筋活動の最大値が3~5割ほど軽減した。男性に比べて腕力の弱い女性の利用や人手不足の問題解決の一助になることも期待される。また慣れれば1分程で着脱可能な点も特徴だ。

 旭蝶繊維の児玉賢士社長は「当初は服と一体化したデザインを考えていたが、ファッションを楽しめるように多様な服とともに装着できるデザインにした」という。

 色はブラック。サイズはS、L、XLで男女兼用。本体価格は3万9000円。

 現在、日野自動車の協力を得て工場での作業時の着用による評価実験を進めており、今後の使い勝手の向上につなげる。

アシストスーツ「イージーアップ」
試着した販売業者からは「この価格なら売りやすい」「風呂介助など水に浸かる現場で交替せず連続着用できるのはいい」と好評(国際福祉機器展)


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