青山商事は「洋服の青山」銀座本店を今秋、全面リニューアルした。これまで都心の小型店を中心に導入してきたネットと実店舗が融合した次世代型業態「デジタル・ラボ」を今回の改装で大型の同店にも取り入れた。今後、「地方の大型店への導入も視野に入れており、既製スーツの店頭フェースを削減することで、オーダースーツやビジカジスタイル、レディスなど多様なニーズに対応したカテゴリーを充実した店づくりが可能になる」とみている。
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デジタル・ラボは全国の洋服の青山の商品在庫と連動したオンラインストア上の1000万点以上の在庫の中から商品を選択し、店頭で実際の素材感や着心地の確認とスタッフによる採寸を受けてから購入できる。自宅へ配送されるため、手ぶらで帰宅でき、裾や袖の丈を補整した商品を受け取るので再来店する必要がないのが特徴だ。店頭には大型のデジタルサイネージやタブレット端末で簡単に操作できる。現在、洋服の青山をはじめ、「ザ・スーツカンパニー」など約40店に導入している。
以前までは検索機能が中心だったが、新たにランキング機能やデジタル接客などのサービスが加わった。人気商品がランキング形式で日々更新されることで、購買の後押しにもなるという。デジタル接客では対面販売をイメージした画面に従って操作すると、顧客自身のサイズや好みが絞り込め、店頭在庫から実物が確かめられる。「ECでも同じ体験ができるため、ネットで洋服を購入することに抵抗がある年配の男性にとっての導入部になりうる」とみている。コーディネート機能ではスーツを選ぶと自動的にシャツやネクタイも薦めてくれる。
銀座本店の全面改装ではデジタル・ラボを導入したことで、主力アイテムの既製スーツのスペースを4割以上削減でき、新たなカテゴリーをコーナー化するなど多様なビジネススタイルを提案できるようになった。ビームスデザインが監修する次世代のカジュアルスタイル「モアレス」をはじめ、デサントと協業した高機能なセットアップスーツ、今秋から立ち上げたオーダースーツブランド「クオリティオーダー・シタテ」もコーナー化した。10月末時点でスーツカンパニー含め75店に導入。同オーダーは初回に店舗で注文した時に登録した生地や採寸データなど購入履歴をウェブサイトで確認できるので、来店しなくてもスマートフォンやパソコンを使って気軽に注文することが可能となった。