アンテプリマ荻野正明社長 「欠品はチャンス」

2017/08/10 04:30 更新


 「欠品を恐れてはいけない。ビジネスチャンスだ」。アンテプリマの荻野正明社長はこう強調する。16年12月に社長に再就任してから、17年春夏の初回の仕入れ金額は約15%減らした。17~18年秋冬は発注額を約20%減らす。「在庫を持たない体質に転換する」という。

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 ファッション業界は90年代からリスクを張らず、QRありき。どれか売れたものをQRすればいいと、SKU(在庫最小管理単位)をやみくもに増やしてきた。その結果、売れ筋に一極集中し、似たような商品ばかりが並ぶマーケットの同質化を招いた。消費者が離れていったのは自然だ。

 ファッションが「毎年ワンランク上のものを」と誰しもの夢を充足させるものではとっくになくなっている。いつでも、どこでも、誰でも買えるアイテムはいくら作っても購入されない。かつては欠品は絶対にNGとされてきたが、今はむしろ逆。ビジネスチャンスと捉えるべきだ。簡単に買えないからこそ、ときめきや夢を感じることができる。

 主力のワイヤーバッグは一切値引きをしないことに決めた。セールは正価で購入する顧客を傷つける行為であり、毎シーズン繰り返せば売れなくなって当然。ディスカウントはあと半年でゼロにする。昨年、純銀を使ったワイヤバッグを販売した。今年は純金でも作れないかと思っている。人類史上になかったことにも挑みたい。消費者の憧れになるように、ブランドのポジショニングを一格上にする。

アンテプリマ 荻野正明社長





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