ANAPは7月、92年の設立以降初のブランド合同展示会を開いた。「マーケティングの起点にする」のが最大の目的で、インフルエンサーやモデルの集客に注力した。彼女らのSNS発信を通じて客にブランドや商品の認知を広げ、ECへの来店を促すのが狙いだ。「(客に近いインフルエンサーとの)接点を作れれば自社の強みになる」と今後に期待する。
主力の「アナップ」などの23~24年秋冬物を見せた。ブランドはほかに、子供服「アナップキッズ」「アナップガール」、EC専門の「チル」「ラティーナ」、サーフカルチャーを反映した「アナップミンピ」、セレクトショップ「セッティミッシモ」、今春にデビューした「アンリバティアナップ」を揃えた。
従来は各ブランドで、取引先に向けて商品を紹介していた。今後、ECを強化する上で来店動機を作るための施策が課題となり、インフルエンサーを活用したプロモーションに着目した。今回は5日間で約100人のインフルエンサーが訪れ、うち70%が新規だった。
インフルエンサーにはブランドの垣根を越え、好きな商品を自由に注文してもらった。一人ひとりのパーソナルな部分に響く商品を紹介する方が、客の共感や関心を引き出せるからだ。
オーダーシートを参考にインフルエンサーとブランドの親和性をみて、今後のマーケティングに生かす。商品企画にも役立てる。「私たちのアイデンティティーと市場の需要は違う。特にレディスのマストレンドは変化が速い」と岩松眞吾商品企画部門部門長は話す。
今年で30年目のアナップを今の若い世代がどう見るか、インフルエンサーとのつながりを増やして、リアルな声を吸収したいという。
合同展示会を開き、普段、日常業務で商品に触れない社員が、新作を見られる場にもなった。「本社の社員が、どういう人がお客様なのかを知るきっかけになった。洋服は本来、クリエイティブなもの。洋服屋の原点ではないが、お客様が喜んでいる様子を見て感じる良い機会になったと思う」。
会場には撮影ブースも設けた。社員のアイデアで韓国の若者の間で話題という「レシート写真」の機械を設置した。レシート用紙に写真が印刷されるもので、それらを壁にハート形にして飾った。来場者に好評で、それぞれにポーズを決めて楽しんでいる姿が見られた。

展示会では韓国のストリートファッションを意識したアンリバティアナップの、ジャージーのジャケットとパンツのセットアップが好反応だった。裾にラインを入れたジャケットはクロップト丈にし、パンツにはカーゴポケットを付けてトレンドを取り込んだ。雑貨ではアナップで推すミニバッグが「かわいい」と注目を集めた。