ライバル関係にある独アディダスと米オールバーズが、独自の技術や素材のイノベーションを共有することでカーボンフットプリント(CFP、ある商品の生産から使用・廃棄の過程で排出される温室効果ガスの総量を示したもの)の量を低減したランニングシューズ「フューチャークラフトフットプリント」の開発に成功した。1足あたりのCFPの量は2.9キログラムCO2eと、両社にとってこれまでで最も低い値を実現したという。同シューズは5月21日午前9時に全世界で100足のみ抽選し、今秋冬には1万足限定で一般販売。22年春夏にはさらに販売数を増やす。
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「アディダス」で人気のミッドソール「ライトストライク」をベースに、「オールバーズ」のサトウキビからできたフォームで再構築し、低炭素の天然素材を実装。アッパーには、リサイクルポリエステルを70%、セルロース繊維「テンセル」を30%使った。従来品であるランニングシューズ「アディゼロRC3」と比べると、1足あたりのCFPの量を63%削減したという。
両社は20年5月に、二酸化炭素排出を実質的にゼロにする活動を推進するパートナーシップを結んだ。互いが有する独自素材やサプライチェーン、革新技術を共有し、製品のパフォーマンスを損なうことなく、CFPを抑える最適な開発プロセスを採用、見直す作業を進め、「わずか12カ月の間に素材、製造技術、パッケージに至るまですべてを再考することに成功した」という。
オールバーズの共同創業者の一人で、CEO(最高経営責任者)のティム・ブラウン氏は、「この1年間、二つのチームが一丸となってCFPゼロに限りなく近いフットウェアの開発に取り組んできた。その結果、エキサイティングな一歩を踏み出すことができた」とコメントした。