EXJ(東京)のビキニ主力のブランド「アリシアスタン」が急成長している。女性の健康的な体を引き立てるコンパクトな作りで、プリント柄や日本製にこだわる。SNSを活用したブランディングも強み。旅の思い出に、ビキニ姿のおしゃれな写真を投稿したいという女性の熱量も人気を支える。ECと夏期メインのビジネスながら倍増ペースで年々事業を拡大し、18年11月期は売上高10億円(前期は6億6000万円)の大台達成を見込む。
(石井久美子)
「私自身も海が大好きで、旅をしながら海外のカラフルで小さいビキニを集めていた」とCEO(最高経営責任者)でデザイナーの山中美智子さん。しかし品質や着心地には不満もあり、一方で日本は生地面積が大きいタイプが主流だったことから、自分で理想の小さいビキニを作ることにした。
体形が最もきれいに見える角度や面積を追求し、動きやすさや安定感にも配慮している。競泳水着でも通用する素材を使い、オリジナルプリントの柄物や無地がある。日本製。上下別売りで、合わせて買うと2万2000~2万3000円など。
今年は主要都市で期間限定店を開催。東京・表参道は10日間で8000万円、阪急うめだ本店は初日に約1200人が来場、14日間で4000万円を売り上げた。しかしECの爆発力はそれ以上で、3月の立ち上がりの時期には1日で1億円をたたき出すほどだ。
人気の背景には、女性に響くブランドイメージ作りがある。常設店を持たないためビジュアルが命。ルックブックは外国人モデルを起用しハワイやロサンゼルスなどで撮影する。一方、山中さんのインスタグラムではビキニを着てのポーズなど「頑張れば誰でもまねして撮れて楽しんでもらえる」よう、分かりやすい投稿を心がけている。
実際にインスタグラムには、一般女性がアリシアスタンを着て沖縄などのきれいな海で撮影した画像が投稿され、プロレベルの凝った画像も多い。着るシーンが限られるからこそ、その瞬間にかける女性の熱量は大きい。SNSでの拡散効果や、人気テレビ番組にも出演していた山中さんの知名度もあり、ECの客層は10代後半~30代半ばと幅広い。
今年で5周年。「ニッチな物を作っていると思っていたが受け入れられてきた」。トレーニングでおしりなど体を鍛える女性が増え、小さいビキニへの抵抗感も薄れてきた。今後はSNSを駆使して海外進出も検討する。海外市場や海外旅行でのニーズを見込んで今年から秋冬も販売する。海外の雑貨なども扱う期間限定のセレクトショップも29日まで東京・代官山で開催中だ。夏が終わっても熱量が下がらないよう通年の提案を増やし、水着=アリシアスタンというイメージをもっと浸透させたいという。