1年ぶりにプレゼンテーションを行った「アキコアオキ」は20年春夏、切れのあるカッティングでテーラードアイテムを再構築し、フェティッシュなにおいを感じさせるエレガンスを見せた。
袖を切り落とし、前身頃を縦のラインで切り替えたジャケット、メンズ仕立てのシャツドレスにピンストライプのジャケットの袖をレイヤード。コルセットのようなディテールや腰回りのカットアウトデザインなど、これまで青木が取り組んできた足し算の装飾を生かしつつ、甘さをそぎ落として紳士的な強さを際立たせた。
新たな一面は、一枚の布が生み出すシルエット変化を組み込んだこと。ノーカラージャケットの袖は正方形の布がドレープして腕を覆い、プリーツスカートはスクエアのヘムが揺れる。オーバーショルダーのジャケットのウエストを切り替え、ピンストライプのスーツ地など複数の生地をレイヤードしてドレープさせたドレスもある。「現代人が着用するシャツやジャケット、東洋的な民族衣装と、二つの意味でユニフォームに着目して取り組んだ」と青木。
18体のモデルは、鏡が付いた柱の間を通り抜け、強いライトで反射した光の中で鏡に映る姿が揺れ動く。未来に向かって進んでいく、しなやかで強い女性らしさを印象付けた。
(須田渉美、写真=加茂ヒロユキ)