赤ちゃん本舗が様々な販路に挑戦 新しい客層にアプローチ

2023/08/29 06:28 更新


6月にはホワイティうめだに期間限定店を出店した

 赤ちゃん本舗が様々な販路に挑戦している。GMS(総合小売業)への卸や、自動販売機の設置、期間限定店の出店などで、既存店では届きにくい客層へのアプローチを強めている。

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 きっかけは、コロナ禍での行動様式の変化だ。同社はSCへのテナント出店が主力のため、緊急事態宣言発令による休業の影響を大きく受けた。会員データを見ると、「店舗と離れているところに住む客ほど離反している傾向」(吉田興輝取締役執行役員業革推進担当兼物流本部本部長)があると分かった。出産準備品や子育て用品はドラッグストアやロードサイドの専門店など、より近隣の店で済ませる買い物スタイルが定着したとみる。

 そのような客層の生活動線に入るべく、21年からスタートしたのが同じセブン&アイ・ホールディングス傘下のイトーヨーカ堂への卸販売だ。同社の売り場にコーナー展開する形で、オムツやおしりふき、ベビーフードなどの育児雑貨を揃える。売れ行きには一定の手応えを感じており、展開店舗も千葉・八柱店をはじめ関東圏の10以上の店舗に広がっている。

 非接触、非対面の買い物スタイルが望まれるようになったのも、コロナ禍の大きな変化だ。同社の中心客層は妊婦や小さい子連れの人が多いため、特にニーズが高い。そこで、自動販売機での販売を始めた。これまでに店舗の外やSCの共有スペース、総合病院の産科フロアに設置している。

 自販機では、小分けになったオムツやおしりふきなどの消耗品を中心に販売。店舗の外に設置した自販機は、営業時間外の利用が目立ち、時間の制約にとらわれず買い物できる利便性が受けている。

 6月には、ホワイティうめだに期間限定店を出店した。同社を普段利用しない客層への接点拡大が目的で、食品や菓子、ぬいぐるみなど約200アイテムを販売。仕事帰りやお出かけついでに立ち寄れる店という新しいイメージを発信した。

 この他にも、都内の集合住宅や地方の買い物弱者対応として、移動販売車両での販売にも取り組んでいる。出店時間や場所の選定が客のニーズと合っているのかどうか、ノウハウを蓄積している段階だ。

 多岐にわたる販路開拓を実現できた要因は、自社の物流センターを埼玉に一本化し、21年10月から本格稼働したことが大きい。インフラ、システム面が構築できたことで、多様な販路のハンドリングが可能になっている。



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