イオン ベトナム事業の領域を広げて拡大

2017/06/09 04:27 更新


 イオンはベトナム事業で、当面は広域型SCのドミナント出店を進めながら、グループの多様な業態による拡大の準備を進める。19年度までの中期経営計画で中国を含めたアジア事業の営業収益を16年度の4000億円から1.5倍以上にすることを見込んでいる。

 ベトナム事業は16年度に計画を1年前倒しで黒字転換しており、アジア事業の一翼として投資も含めて「成長を加速させる」(若生信弥イオン副社長)構えだ。

 ベトナム事業は、14年にSC「イオンモールタンフーセラドン」をオープンして本格化した。現在では、イオンモールの運営する広域型SCがホーチミンエリアに3施設、ハノイエリアに1施設となっており、19年度にハノイにSC「ハドン」も出す。食品スーパー事業は地元企業との合弁で56店運営しており、コンビニエンスストアも80店を超えている。

 16年度で黒字化したのはタンフーセラドンで年間1200万人を集客するなど、拡大する中間層を捉えて客数が予想を大きく上回っていることが大きい。イオンは5日にハノイ市人民委員会と投資及び事業推進に関する包括的覚書を交わしており、当面は開発の進むホーチミンとハノイの両エリアの郊外での広域型SCの出店に力を注ぐ。イオンモールが3カ年計画で出店を明らかにしているのはハドンだけだが、同日、ハノイ市に近いハイフォン市と覚書を交わしており、出店の可能性を探ることになる。「地方都市も成長しており、調査している」(西峠泰男イオンベトナム社長)としており、ホーチミン、ハノイから周辺に事業地域を広げることも想定する。

 都市部では、GMS(総合小売業)を中心とした中規模SCの出店を見込む。また、アミューズメントのモーリーファンタジーが現地法人を立ち上げるなどグループ専門店の進出の準備を進めており、ウエルネス分野などをGMSからスピンアウトする構想もある。今後、マルチフォーマットによる拡大を進める構えだ。

◆レイクタウンにフック首相が訪問

 イオンレイクタウン(埼玉県越谷市)で11日まで開かれている「イオンワールドフェスタ・ベトナム・ハノイフェア」に、ベトナムのグエン・スアン・フック首相が視察に訪れた。同フェアは、フルーツやビールなどベトナムの産品を紹介するもの。また、5日にハノイ市人民委員会と締結した覚書に基づき、イオンは輸出の促進に協力することになっており、商談会も開かれた。イオンはすでにベトナムと年間215億円の取引があるが、8割が衣料品分野で、カテゴリーを広げることも含め拡大に取り組む。

イオンレイクタウンを視察するフック首相(右から2人目)


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