TPOさえ守っていれば、いくつになっても着たいものを着ればいい――東証一部上場企業で総合職として働きながら、モデルとしても活躍する堀内咲季さんが22年1月、自身のブランド「アディクシー」を立ち上げた。20代後半以降のロックやモノトーンスタイルが好きな女性へ向けて、「大人が着ても違和感がない、ロックでエレガントな服」を提案する。
(松本寧音)
仕事と並行、5カ月で
堀内さんは、会社員とモデルを兼業する30代の女性。今春からはこれらを継続しつつ、同ブランドのディレクターも務める。服作りはOEM(相手先ブランドによる生産)の会社に協力を得ているが、その他の販促物のデザインなど細かな作業は全て一人で行っている。昨年4月には、バンタンデザイン研究所へ入学。週に一度、ファッションデザインやブランドビジネスを学びながら、日中の仕事と並行して準備を進め、約5カ月でローンチした。
「10代のころから、ロックミュージックに触れて育った」という堀内さん。ファッションにも少なからずその影響を受けてきたが、年齢を重ねるにつれ、「自分が好きなものと、社会が求める像にギャップを感じるようになった」という。30代女性やママ向けファッションはこうあるべき、といった同調圧力のような風潮を取り払い、アディクシーで自分らしくおしゃれを楽しむことを伝える。
国内生産で手ごろ
コンセプトは「リアルモード&ロック」。デビューコレクションの22年春夏は、ジャケットやブラウスを始め、ユニセックスなサイズのパーカなど8型を揃える。ロックスタイルを軸に、サテンやオーガンディなど上品な素材とデザイン性でエレガントさを演出する。ラインナップは、サテンのライダーズ風ジャケットや、アイコニックなベルトがモチーフのスカート付きショートパンツなど。中心価格はアウターで2万~2万5000円、トップで1万~2万円。受注生産で、オンラインストアで販売する。
メインコレクションは東北を中心とした国内生産で、長く着用できる高品質な物作りにこだわる。また、生産のリードタイムを長く設定することでコストを抑え、同世代が購入しやすい価格にした点も特徴だ。
コロナ禍でファッションや音楽をはじめとしたエンターテインメントが抑圧され、「なくてもいいけど、あるといいもの」といった〝余白〟こそ大事と感じたという。今後はバンドとのコラボレーションや、〝ライブ着〟に選んでもらえるファッション提案など、ロックシーンを盛り上げる取り組みにも力を入れていく。