アダストリアは7月1日付でウェルカム(横川正紀代表)の運営する生活雑貨の「トゥデイズスペシャル」「ジョージズ」を承継する。取得金額は非開示。2業態を傘下に収めることで、雑貨を中心とするライフスタイル事業をさらに強化する考えだ。
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トゥデイズスペシャルは、「食と暮らしのDIY」がコンセプトの食品・雑貨店。路面店とルミネ新宿2、東京ミッドタウン日比谷、恵比寿ガーデンプレイスなどに8店がある。生活日用品を提案するジョージズは、SCを中心に16店ある。
アダストリアの売上高(24年2月期連結2755億9600万円)のうち服飾雑貨を含む雑貨事業は4分の1程度を占める。「ニコアンド」「ラコレ」のほか、合併当時40店に満たなかった「スタディオクリップ」を十数年で179店、200億円超えの規模にまで育て上げた実績もある。
トゥデイズスペシャルは都心の駅ビルやファッションビルの店が多く、ジョージズは関東に店が集中している。既存業態とは異なる店舗網、客層のため、雑貨事業のポートフォリオ強化につながると判断した。
同社は国内の雑貨市場規模を3兆5000億円と見ている。ウェルカムから引き継ぐ2業態の事業規模は30億~35億円だが、自社の運営ノウハウやプラットフォームの活用でさらに規模を拡大する。
承継後は、店舗開発力を生かし、出店を加速する。会員数1750万人の自社ECで販売することで、現状10%以下の2業態のEC比率も上げる。生産背景や店舗運営のノウハウを共有化し、アパレル比率も一定引き上げる。
より上の市場を取りに行く
アダストリアの木村治社長とウェルカムの横川正紀代表に聞いた。
――取得の狙いは。
木村 トゥデイズスペシャルがある立地に我々は出店できていない。客層も違い、客単価も高い。既存ブランドより上の市場を取りに行くうえで魅力的だった。ジョージズはファミリーに訴求できるし、東京に出店が集中しているので、全国に店を出せる。
――売却の理由は。
横川 当社の事業で最も大きいのが「ディーン&デルーカ」だ。食物販分野でノウハウはある程度持っている。ジョージズは創業からのブランドで、トゥデイズスペシャルも多くの施設から引き合いをいただくが、商品や店舗の開発、物流などもう一段の成長のためのリソースが足りないと感じていた。
――今後は。
木村 2ブランドでやり方が違うが、きちっとブランディングをしながら、成長させることが重要だ。詳細な計画は作っている。
横川 トゥデイズスペシャルは収益性の高さをとても評価していただいた。バトンを渡すことでECを含め、我々ではできなかった2ブランドの成長を実現できると思っている。