アダストリアが、強みのスピード力、修正力を生かして業績を大幅に回復させている。19年2月期は、商品企画や生産のあり方を見直し、適時、適価、適量を徹底することで、下期に主力の「グローバルワーク」「ローリーズファーム」などで成果があった。新規事業も上向いてきた。今後はグローバル、テクノロジー、サステイナビリティー(持続可能性)をキーワードに、利益重視の経営を進める。秋には中国・上海に、「ニコアンド」の海外最大級の旗艦店を出店する。
(石井久美子)
上期(18年3~8月)は、4、5月の不振で連結営業利益が前年同期比86%減と大苦戦した。そこで商品力を改善すべく、スピーディーに情報やニーズをつかめる体制を整備し、下期はQR・期中生産の活用、メリハリのある価格設定などに取り組んだ。在庫量を適正化し値引きを減らすことも重視。冬はセール期間を短縮し春物を早めに立ち上げ、過剰在庫や利益圧迫の要因にもなっていた福袋販売はやめた。
これらの結果、上期は前年同期比4.2%減だった既存店売上高は、下期は3%増と回復。通期では、当初の業績予想には届かなかったものの、連結売上高2226億6400万円(0.1%減)、営業利益71億9000万円(43.7%増)まで巻き返した。粗利益率は53.9%(0.3ポイント減)。商品や販促が当たり、不振だった2ブランドが浮上したことも大きい。グローバルワークは通期売上高408億円(1.8%増)と大台に乗せ、ローリーズファームは30代の獲得が進み下期は既存店売上高が前年超えに転じた。「ニコアンド」は309億円(9%増)と引き続き好調。
「異常事態」と語っていた上期に対し、素早い対応策が実り、「何とか下期は立て直すことができた」と福田三千男会長兼社長。3月も既存店売上高が8.2%増と強さを見せ、ブランド横断キャンペーンのトレンチコートのヒットなど、組織力を発揮している。
【続きは4月8日付の繊研新聞本紙・電子版で】