アダストリア・イノベーションラボ 新サービス続々

2018/11/19 06:30 更新


 アダストリアの社内組織、アダストリア・イノベーションラボは、子供服のシェアリングプラットフォームや、クリエイターと協力する商品化プロジェクトなど、新事業・サービスを次々と発表している。社内外のノウハウを生かしたオープンイノベーション型の開発や、販売スタッフやクリエイターなど〝個〟の力にも焦点を当てていることがポイントだ。

(石井久美子)

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 アダストリア・イノベーションラボは17年9月に発足。現在は高橋朗ラボ長と田中順一部長を含めた社員4人に加え、外部の人材とも協力している。フリマアプリなど服の流通が変化するなか、顧客接点におけるイノベーションも目指す。これまで、ラボが関わるサービスを五つ発表してきたが、それらは大きく「ゼロから開発する新規事業モデル」と「既存事業と掛け合わせてシナジーを発揮するもの」の二つに分けられる。

 前者に当たるのが、「キッズローブ」と「マイファッションハブ」だ。キッズローブは、家庭にあるユーズドの子供服をシェアし合うためのプラットフォーム。「私も子供がいるが、子供服は翌年にはサイズが小さくなって家にどんどんたまっていく」と高橋さん。シェアリングサービスによって、子供服を手に入れるための「選択肢を増やしたい」。安定供給のため、子供服の買い取り・販売のキャリーオン(東京)と商品供給のパートナーシップを結んだ。9月にベータ版をスタートし、定員を上回るニーズがある。

クリエイターとアダストリアが協力して服を作り販売するための拠点「マイファッションハブ」(サイト画面)

 マイファッションハブは、個人、法人、プロ、アマ問わずクリエイターから服のアイデアを募集し、製品化やECでの販売をアダストリアがサポート、売り上げの一部を本人に還元する新しい拠点にする。「今は、パラレルキャリアなど個人の働き方も変化している。『誰から』買うかも重要だ」と田中さん。とはいえ個人での服作りはまだハードルが高い。一方でアダストリアは一貫したバリューチェーンを持つため、この機能やノウハウを活用する。供給までのプロセスで、どこまでをクリエイターが、どこまでをアダストリアが受け持つかという役割分担は、今後色々なパターンが考えられるという。すでに打ち合わせに進んでいる案件もあり、19年春の本格化に向けて一部は年内に発表したいという。

 一方、商品のパーソナルレコメンドサービス「ドットスタイリスト」、スタッフ個人のスタイリング投稿を閲覧できる「スタッフボード」、AI(人工知能)による画像検索の三つは、自社ECサイト「ドットエスティ」の新しいサービスだ。ドットエスティの売り上げへの効果も見込みやすい。スタッフボードはバニッシュ・スタンダードの「スタッフスタート」を導入、AIの画像検索はニューロープの協力で開発するなど、社外との取り組みにも積極的だ。「外部からの人の流れに寛容なのは社風でもある」と高橋さん。自社内での完結にこだわらず社外と組む意義として、事業に集中してスピーディーに推進できること、第三者的視点で課題解決策を見つけられることなどを挙げる。

 コンパクトな体制で運営しているが、「リリースの頻度は想定通り。一つひとつのサービスに思い入れはあるが、次の人に渡して自分は次のタネを探していきたい」考えだ。

アダストリア・イノベーションラボの高橋さん(左)、田中さん
着なくなった子供服をシェアし合うプラットフォーム「キッズローブ」(アプリ画面)


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