マッシュ社長、商品の模倣被害を語る

2015/07/06 06:00 更新


 ファッション販売サイト「グレイル」の運営会社アートデコの親会社、Gio(ジオ、大阪市)の塚原大輝社長らが6月30日、不正競争防止法違反(商品形態模倣)容疑で大阪府西警察署により逮捕されたことを受け、両社および両社の代表取締役を刑事告訴していたマッシュスタイルラボの近藤広幸社長が繊研新聞のインタビューに応じた。

◇刑事告訴による逮捕、日本初

 高級ブランドなどの偽ブランド品(商標権侵害品)が摘発される事例は従来も多いが、デザインを模倣しつつブランド名は変えて販売する、「ファッションブランド商品の形態模倣での刑事告訴が受理され、その当事者が逮捕されるのは日本で初めて」という。

 マッシュスタイルラボによると、数年前から同社の「スナイデル」「リリーブラウン」の模倣品がグレイルのオリジナルとして低価格で販売されており、販売停止を再三申し入れていたが、一切回答はなく、販売し続けていたという。そこで、昨年9月に大阪府警に相談し、11月に告訴状が受理されていた。

 民事ではなく刑事告訴した理由について、「ブランド名さえ変えればいい、ということを許してしまうと日本のブランドが皆駄目になってしまう。悪質な手口の犯罪を食い止めたかった」と近藤社長は話す。有名モデルを使ったり、有名ファッション誌やテレビCMで大々的に宣伝するという新たな手口も批判。スナイデルの店で気に入った商品の模倣品をグレイルで買う、という消費者もおり、ブランド名が違う分、模倣品を持つことへの抵抗感が薄い点も大きな問題だとみている。「店頭スタッフやデザイナーもくやしい思いをしていた」

◇模倣品排除へ厳正対処

 グレイルで販売されていた模倣品は、「当社のオリジナル柄まで模倣し、生地や縫製は粗悪だが、デザインは全く同じ商品。細部のアレンジもしていない。サイトに掲載するコーディネートや説明文まで一緒の商品もあった」。価格はマッシュの商品の3分の1~4分の1程度だった。短期間に調べただけで100点を超える模倣品が見つかったが、時間を要するため数点に絞って警察側が証拠集めを行ったと聞いており、「警察が迅速かつ誠実に動いてくれたことも大きい。(塚原ジオ社長は)容疑を認めていると聞いている」

 被害額は、過去をさかのぼれば10億円近いとみているが、模倣品が大量に出回ることでのブランドイメージ低下やファン離れなどの影響もあった。刑事での決着がついてから、民事訴訟も検討する。

 今後も、形態模倣を行う業者には厳正に対処するとともに、スナイデルなどのブランド名をかたった商品が多く出回っているアジア圏では、現地の警察などの捜査機関とも協力しながら模倣品排除に取り組む。

ファンに安心して買ってもらうためにも、模倣品には厳正に対処していく(「スナイデル」15年春夏展)
ファンに安心して買ってもらうためにも、模倣品には厳正に対処していく(「スナイデル」15年春夏展)


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