【トップインタビュー】タキヒヨー株式会社 代表取締役社長執行役員 滝一夫氏(PR)

2023/05/16 00:00 更新


 タキヒヨーは前期(23年2月期)、「リバイタライズプラン」(黒字体質復活計画)をスタートさせた。新しい時代を見据えたタキヒヨーの新たな挑戦だ。黒字に転換するためにはもちろん経費を削減することは必要だが、その本質は人材育成を核に業務内容を見直し、取引先との取り組みを深め、商品開発を武器に市場を創造し、広げることにある。

 新たな挑戦を担うのは、マルチタスク人材だ。複数のアイテム、組織を横断した一連の業務プロセス、担当分野の徹底的な掘り下げなど、精通する分野・業務を水平方向や垂直方向にも広げ、商品を開発し、顧客を開拓して市場を創造する。

商社だからこそものづくりに習熟

 当社は以前から「メーカー機能を内蔵したユニークな商社」を掲げてきました。この理念は今でも生きています。 「良い」と思った商品も、具現化する術を持たなければ外部に丸投げするしかありません。しかし、自社でものづくりができれば、自分たちで形にすることができ、取引先との取り組みで生まれたアイデアを生かすことが可能になります。ものづくりが分かっていなければ、物の良さが分からない、良い物をセレクトすることもできません。商社だからこそものづくりを徹底的に理解しなければならないと思っています。

 ただし、ものづくりが好きで奥まで入り込む人材もいれば、ものづくりよりも販売の方が好きだという人材もいます。言うなれば垂直型と水平型。水平型に武器を持たせてやる、あるいは水平型のアイデアを形にするのが垂直型。垂直型が作った物を担いで売って歩くのが水平型。一つのチームの中に垂直型と水平型がいてもいい。

 もっとも、メンズからレディス、インナー、ベビー・キッズまで全てのものづくりを理解せよというのは短時間では無理です。カットソーやニット、布帛もあります。これまで一つのアイテムを深掘りしてきたのですから。トータルで展開する「Labo Spec(ラボスペック)」のようなブランドを担当すれば分かるようになるにせよ、時間は掛かります。どういう人材を育てるのかを明確にして、そのためのやり方やプロセスを組み立てているところです。

順調に拡大しているトータルカジュアルブランドの「Labo Spec」

お客様に喜ばれる面白い商品提案

 製品卸事業で既存の取引先との取り組みを深める一方で新規取引先を広げようとしていますが、単に商品を持っていっても取引先との関係は変わりません。売り場が変わるような提案を持っていって、売り場の人たちが「取り扱いたい」と思ってくれるようにならなければいけません。トータル展開の上質なカジュアルブランドのラボスペックは、イオン様との取り組みが120ショップ以上に広がる見込みです。取り扱い店舗が増えていけば、どんなものが売れるか、価格やセット買いの比率も掴めるようになり、次のMD計画に反映できます。加えてヤングやベビー・キッズからも声が掛かるようになり、いろんな案件を依頼してもらえるようになりました。

 今、考えているのはシニア向けの明るい服。体型をカバーし、淡い色やきれいな色で、顔映りが良く元気になる服です。シニアの売り場は暗い色の服ばかり。明るい色だけ集めたような売り場は見当たりません。市場を創るという点でも挑戦する意義は大きい。まずは大手と取り組み、ロットをまとめ色や柄を少し変え、地方や中堅クラスの量販店にも提案していきます。面白い商品を提案できれば多くのお客様に喜んでもらえます。

サステナブルを切り口に様々な販路へ

 グローバルトレードグループ(貿易部門)はテキスタイル輸出、輸入ともに好調で前年比130%以上という伸びを示し、将来100億円規模が現実味を帯びてきました。

 課題は中国です。輸出は欧米のハイブランドが中心ですが、中国でも新たな競争力あるブランドが台頭し、大きく成長しています。サステナブルと独自性を武器に欧米、中国、そしてアジアを攻めていきたい。

 サステナブルを切り口にした商材は、縫製工場の裁断くずや、古着を回収・再生する循環システム「ノーウエイスト」、戦略的提携基本契約を結んだ化学品商社ハイケムのPLA(ポリ乳酸)繊維「ハイラクトⓇ」など様々な提案ができる可能性があり、それらを通して異業種も開拓していきます。例えば自動車メーカーとはオリジナルエプロンを協同企画し、オンラインショップで販売されました。そういうところに我々の知見を持って、エコな素材を提案する。私たちの領域の少しだけ外側からスタートして、協業しながら新しいマーケットに売っていく。可能性は大きいと感じています。

サステナブルに特化したウェブサイト「TAKIHYO FOR GOOD」を開設

何が基軸かを追求しブランディング

ゴルフウェアの3ブランド、「ZOY(ゾーイ)」「G/FORE(ジーフォア)」「WAAC(ワック)」は引き続き好調に推移しています。ブランドごとの〝におい〟を確立し、お客様を広げていくことが課題です。

 ゾーイはスタートして35年です。ゾーイが好きだという60代、70代のお客様からよく聞かれるのは、「綿100%のポロシャツがないか」。今のゴルフウェアのポロシャツは薄手の合繊素材です。秋口に綿のベストを上に羽織ると素材のバランスが合わない。伸縮性がなくても昔のような目の詰まった鹿の子のポロを求めるお客様がいるのですが、取り逃がしています。生地が無ければ作ればいい。市場にあふれている機能素材で戦う必要はありません。

今年35周年を迎える上質な大人のゴルフブランド「ZOY」

 ブランドの味付けをどこでするか。何を基軸にブランドのアイデンティティーを作っていくのか。徹底的に追求しブランディングしていきます。

【profile】1960年生まれ、1990年タキヒヨー入社、2001年百貨店事業部副事業部長、2003年執行役員テキスタイル事業部副事業部長、2004年取締役テキスタイル事業部長、2008年常務取締役テキスタイル事業部長、2010年常務取締役営業部門副統括兼貿易部・AKNYブランド・テキスタイル営業部・テキスタイル企画開発室管掌を歴任、2011年3月より現職。

https://www.takihyo.co.jp

企画・制作=繊研新聞社業務局



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