2月19日、2ブランドが25年秋冬に向けたショーを行った。
「メッキ」(宮本葉月)は東急プラザ銀座店の6階で初のショーを行った。会場は改装前で配管や柱がむき出しになったフロア。窓ガラスにはビルに囲まれた景色が映る。都心の今を切り取った空間で、潔く、しなやかさを持ったコレクションを見せた。
ラフに結んだシルバーのリボンが映えるパフスリーブのブラウスに、アシンメトリーにギャザーが入ったスカートのセットアップ。黒のグラフィカルチェックの織柄が品のあるたたずまいを作る。シャンブレーのトラウザーをアレンジしたベアトップドレスには一筋のラッフル。ダークトーンで構成しながら、陰影感のあるテキスタイルと構築性を持たせたフォルムによって、変化に富んだ軽やかなエレガンスを引き出した。
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生デニムを切りっぱなしで仕上げたトラペーズドレス、鈍く光るレザー調ファブリックのトレンチコート型ドレスなど、ラフさと気品、マスキュリンとフェミニン、相対する要素が違和感なく溶け込んでいく。テーマはギリシャ語で自然を意味する「physis」。「あるがままの姿を伝えたいと思った」と宮本は話す。
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「レシス」(川西遼平)は新宿区歌舞伎町の古いビルの地下1階で見せた。メロディーのない、ノイズ音のライブとともに始まった。最初のモデルが着用するのは、片袖にシャツが無造作にからまったデニムのセットアップ。都会の騒がしさの中をひょうひょうとした風貌(ふうぼう)で通り過ぎていく。サテンのスーベニアジャケットに、ボタンを掛け違えたストライプ柄のシャツ。ブラウンのコーデュロイパンツは大胆に色が抜けている。薄汚れた印象のアメリカンカジュアルだが、ショート丈アウターのスタイリング、配色のコントラストが色気も感じさせている。
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トレンチコートやテーラードジャケットのフロントにも、ストライプ柄のシャツがくしゃくしゃと絡まる。社会からズレた感覚をトロンプルイユのように表現するセンスがユニーク。スウェットも裾からワークジャケットがはみ出し、一体化して丸みのあるラインを描く。遊び心を利かせつつ、シルエットを大事に作る姿勢が目を引いた。
(須田渉美、写真=レシスは加茂ヒロユキ)