23年春夏パリ・メンズコレクション さわやかできれいな色がいっぱい

2022/06/29 06:28 更新


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エルメス

 【パリ=小笠原拓郎】23年春夏パリ・メンズコレクションは、シーズンを象徴するきれいな色を生かしたショーが多い。マリンのイメージやスポーツシーンを背景にしたコレクションも多く、春夏らしいさわやかな色使いが増えている。

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 エルメスは、軽やかなワードローブにきれいな色をのせた新作を揃えた。ふんわりと羽織るようなテーラードジャケットとハーフパンツのセットアップで始まったショーは、エルメスらしいしっとりとした質感がありながら軽快な雰囲気に仕上げたスタイルが揃う。アップリケしたブルゾンはボックスシルエット、シャツやタンクトップにはタツノオトシゴやザリガニのプリント。さわやかな夏のイメージをシルエットや柄で表現する。

 今シーズンのハイライトといえるのが鮮やかな色とシックな色のコントラストで見せるエレガンス。レモネード、メロン、ライラック、バブルガム、ラグーンといった色に、白やストーングレーを合わせていく。

エルメス
エルメス

 スエードのブルゾンやシャツなど、エルメスらしい上質なレザーも鮮やかな色。テクニカルサテンと呼ぶ鮮やかな色のフーディーやブルゾンは、その軽やかさと発色の良さでケミカルな雰囲気もある。それをシックな色のパンツと合わせることで、存在感が際立つ。上質でありながら弾けるような色使い、そこにエレガンスと自由な精神を感じさせる。もうキャリアも長いヴェロニク・ニシャニアンの硬軟自在のクリエイションとなった。

エルメス

 クレイグ・グリーンは、これまでのスタイルを踏襲しながら、どこかロマンティックな雰囲気に仕上げた。服とともに登場するオブジェのようなパーツには、体操競技のつり輪のディテールやはしごがくっついている。凧(たこ)のように風をはらむパーツもあり、少年時代のノスタルジックな思い出を感じさせる。服は軽やかなコットンや不織布にコーティングした生地がメインで、このブランドらしく圧倒的にセットアップが多い。キルティングパーツも今シーズンのアイコンで、ブルゾンにパッチポケットのようにくっつけたり、パンツの裾のロールアップにくっつけたり。キルティングのセットアップはシームのかわりにひもで結んだディテール。コートやセットアップを彩るレリーフのような柄のアップリケも目を引いた。

クレイグ・グリーン

 ショーの見せ方のクオリティーは高いのだが、スタイルとしてあまり印象に残らないのはなぜだろう。いわゆるクレイグ・グリーンのスタイルが初期から完成しているがために、マンネリを感じているのだろうか。一つのスタイルをやり続けるクリエイションもあってよいとは思うのだが、2年半ぶりのフィジカルで印象が薄いというのには、シーズンごとのエッジの立て方に何か理由があるのかもしれない。

 パリ・メンズの時期に初めて発表したマリーン・セルはパリ郊外の陸上競技場を舞台にした。春夏はスポーツの要素を色濃く反映したスタイルだ。1500人のマリーン・セルのフォロワーを招待しての大規模な見せ方。そこには、ファッションショーを閉ざされた一部の人だけのものではなく、より開かれたものにしようという意図がある。そして、ショーの後には、みんなでパーティーをして楽しもうという企画だ。

 コレクションは、パリ・オリンピックを意識したTシャツとショートパンツのチームの行進で始まった。水着やスポーツウェア、砲丸の形をしたアクセサリー、パイル地のドレスやセットアップ、ガウンといったアイテムが充実する。もちろん、アイコンともいえる三日月柄のトランクスやモアレ柄のドレスも健在。レザーやデニムのパッチワークアイテムなど、今シーズンも環境に配慮したリサイクル素材を感じさせるものも多い。

マリーン・セル

 ただ、あえてメンズコレクションの時期に発表することになったため、全く新しいメンズのラインが登場するのかという期待も高かっただけに、いわゆるマリーン・セルのラインに少しがっかりもした。

 アーケードに座席を並べてショーをしたのはメゾン・ミハラ・ヤスヒロ。会場に入ると、床を埋め尽くした紙吹雪をせっせと掃除するチームがいる。それはデザイナーの三原康弘とスタッフたち。前シーズンの浅草の商店街を借り切って行ったショーを思い出させる演出だ。ショーに登場するのは三原らしいユーモアのある解体再構築のスタイル。

 リラックスしたテーラードスーツにはタイをつなげてネックレスのように首に巻き付ける。デニムパンツは二つの生地を合体、デニムスカートは解体されたデニムパンツからできている。今シーズン、いろんなブランドで登場しているトロンプルイユ(だまし絵)のドレスやパンツも、実はこのブランドはずいぶん早くからやっていた。スウェットパンツのウエストにはアップリケでスウェットトップを巻き付けたようなディテールを取り入れた。演出も含めたユーモアが、再会の喜びを観客へと運んだ。

メゾン・ミハラ・ヤスヒロ

 ポール・スミスは旧郵便局でショーをした。「一年で最も暑い日、ロンドンで過ごしたギャラリー巡りの一日」がインスピレーション。80年代のアートシーンを背景にクラシックなメンズウェアをモダナイズした。コートを使ったアンサンブル、リラックスフィットのテーラードジャケット、シャツ地のようなストライプのセットアップやブルゾン。軽やかなテーラーリングが揃う。ボーダーニットの色の切り替えやグラデーションストライプのスーツなど、夏っぽい色使いが特徴。コートやシャツにのせた淡くにじんだような花柄は、ステンシルやエアブラシでかすみをかけたように見せた。

ポール・スミス

 たくさんのペナントが天井からつるされた会場で、ケンゾーはマリンモチーフのコレクションを見せた。テーラードコートのバックにはセーラーカラーのディテール、ジャケットも襟がそのままニットのセーラーカラーへと変化する。首に巻き付けたスカーフはペナントの形。ジャケットスタイルのボトムには、ラップスカートを取り入れてジェンダーフリーをアピールする。それ以外にもケンゾーのアイコンとしてフラワーアップリケや象の柄のシャツやネクタイ、きものジャケットなどが登場する。クレイジーパターンのシアサッカースーツなど明るい色がいっぱいのコレクション。

ケンゾー

(写真=エルメス、カサブランカは大原広和、他はブランド提供)


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