ヒロココシノ(コシノヒロコ)は、布を大きく折りたたんでつくるグラフィカルな角のある服や、シャツを逆さまにしたりヨコに向けたりした、過去のファッションの〝実験〟を思い起こすコレクション。ジャケットは2人分はあろうかという肩幅、派手な裏地と背裏で遊ぶ裏返し。そして手が隠れるビッグスリーブ。今の服はあの時代とつながっていると教えてくれる。太い帯をぎゅっと結んだスタイルは、ビュスティエのレイヤードにも見えてくる。タンポポの柄のプリントが、種が飛んで別の場所でまた生まれる時の流れとつながりを象徴した。テーマは「リバース」。ランウェーにはショーの前、メビウスの帯が映し出されていた。
タエ・アシダ(芦田多恵)は、ゼブラから発想したような黒と白のグラフィックプリント、アフリカンバティックの色を思わせる濃いマルチカラーストライプ、パイソン柄といった大地のイメージを、クールでパワフルな都会のエレガンスに仕立てた。柄と切り替えのラインはグラフィカル。いつもよりもテンポ速く見せ、大きく膨らむラインのスカートやフルイドドレスも強さを感じる。少し年齢が下に見える、白のレースやラッフルを飾った甘さのあるシリーズも差し込んだ。
ユキ・トリイ(鳥居ユキ)は、花柄と重ねがキーワードになる。透けるフラワープリント2枚重ねのドレス、花柄レースに花プリントがのるブラウス。重ねていても透け感と軽さがポイントだ。ラスチックなサンドカラーとクリアなオレンジ、ブルーやグリーンの色合わせが新鮮。カーディガンの袖を首にぐるりと結びつけて肩に掛けたツインセットやエッフェル塔を刺繍したTシャツもあり、毎日のいろいろな気分を楽しむコーディネートアイテムがいっぱい。
世界を旅するテーマのトクコ・プルミエ・ヴォル(前田徳子)は今回、アフリカ。ゾウやキリンたちがリアルな画風やユーモラスなイラストでプリントされた、にぎやかなドレス、チュニックが次々出てくる。クロシェで作ったフラワーモチーフやビーズの首飾りは手作り感が魅力だ。アフリカンプリントドレスとスカートを重ねた柄×柄が今っぽい。
(赤間りか、写真=加茂ヒロユキ)