【フィレンツェ=小笠原拓郎】18年春夏ピッティ・イマジネ・ウォモのスペシャルイベントが相次いだ。
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JWアンダーソン
JWアンダーソンは、フィレンツェ郊外の貴族の邸宅跡のガーデンをショー会場に選んだ。夕暮れのガーデンに白いリネンのクッションを置き、そこに観客が座って見るというリラックスした設定。ガーデンの彫刻にはキトンのような布をかぶせ、プレスリリースにもそんな写真が載せられている。どんなコンセプチュアルなショーになるのかと思いきや、ハート柄のトレンチコートやライダーズにジーンズがいっぱい。現代人のワードローブという意味合いなのだろうか。いずれにしても、いつになくキャッチーなラインが揃う。
これまでのように縦長トップの難しいシルエットはなし。ジーンズのバリエーションが豊富で、タイポグラフィーのプリントやアップリケで遊ぶ。ジョナサン本人がコーヒーカップを持った広告ビジュアルのようなプリントのトップなど、単なるロゴだけではないちょっとしたユーモアも楽しい。ジャカードセーターのキャラクターもユーモラス。
ジーンズやコートにされたパッチワークは、カットジャカードのようにほつれたディテールで、どこかDIY(手作りのカスタマイズ)の空気をはらんでいる。ハート柄のリュックはアイコニックなピアスの留め具で、キャッチーながら新しい商品としての戦略性も感じさせる。
(写真=catwalking.com)