18~19秋冬オートクチュールコレ メゾン・マルジェラ

2018/07/06 06:30 更新


 【パリ=小笠原拓郎】18~19年秋冬オートクチュールコレクションは、それぞれのブランドらしさを強調したショーが相次いだ。マルジェラのボリュームによるデコンストラクト(再構築)、ヴァレンティノの上質な素材の持つ迫力、ゴルチエのユーモアと反骨心。そんなメゾンのオリジンをもとにクチュールテクニックで表現した。きれいな色使いもポイントとなった。

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 ジョン・ガリアーノによるメゾン・マルジェラのアーティザナルコレクションは、量感のフォルムにトランスペアレントと拘束のディテールを組み合わせ、体を包み込むようなラインを作った。服の枠組みを残してカットワークするテクニック「デコルティケ」をポリウレタンのケープに取り入れて、トロンプルイユのドレスを描く。毛羽立ったウールとポリウレタンのマットな質感、そこにフィッシュネットやPVC(ポリ塩化ビニル)の軽やかな透明感で量感を重ねていく。



 キルティングやトランスペアレントの生地を重ねて豊満なボディーを強調したビュスティエ、ハ刺しのテーラードにはチュールをかぶせてフェティッシュなムードを作り出す。フロッキー加工の毛羽立ち、ボソボソとしたナッピングウール、フェザーを閉じ込めた透明生地。そんな素材を生かしたレイヤードは、古着をそのまま使っているのか、素材を作り込んだのか分からないように複雑に混ざり合っている。マルジェラのアーティザナルといえば、古着やビンテージの食器などを使ったハンドメイドが本来の作風だった。しかし、その古着のニュアンスは枠組みだけ残しながら、再構築され新しいボリュームとカットを元に生まれ変わった。テーマは「デジタル世代のノマディックグラマー」。




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