スポーツエレガンスが主流
【ミラノ=小笠原拓郎】17~18年秋冬ミラノ・メンズコレクションは、依然としてテーラーリングとスポーツのミックスがトレンドの主軸となりそうだ。側章が付いたジャージーパンツやヘムにスリットを入れたパンツなど、機能的で軽やかなパンツと伝統的なテーラードを合わせる。
■きれいな色のモダンスタイル…マルニ
フランチェスコ・リッソによる新生マルニは、きれいな色と優しいタッチを組み合わて軽やかなラインを作った。プラダのデザインチームにいた経歴を持つリッソだけに、その作風はモダンで日本的な要素も感じさせる。赤やオレンジ、グリーンやベージュといった色とボリューム感の組み合わせがイタリアっぽくなくて面白い。特徴はパンツで、ワイドシルエットで10㌢くらいの大きな折り返しをしたものがメインとなる。スーツやコートに太いレザーのオーバーベルトを巻き、さまざまな毛足で刈り込んだファーのスクエア柄をジャケットやコートにのせる。太うねコーデュロイやガンクラブチェックなどの伝統的な素材をカジュアルエレガンスの中で表現する。ファーのストライプ柄の帽子やファーのアップリケのシャツアウターなど、ファーの使い方にブランドの伝統が生きている。
■ヴェルサーチ
ヴェルサーチがこの間のスポーツの流れをベースにしながら、シックなイメージを加えた。ブランケットのようなタッチのグラフィカルなコート、バックに深いタックを入れたコート、インパネスのようなコートなど、コートが充実している。合わせるパンツは、ヘムにスリットを入れて割ったずるりと長いライン。スニーカーとのコーディネートはスポーティーだが、落ち着きのあるイメージに仕上がる。後半はよりスポーティーに。カットジャカードとレザーを切り替えたブルゾンやパテントのキルティングパーカといったアイテムでアクティブな気分を強調した。
■ニール・バレット
ニール・バレットはテーラーリングをベースにしながら、レイヤードやスポーツの要素を組み合わせた。ジャケットは少しだけ落ちたドロップショルダーで、どこか80年代の空気もはらむ。しかし、パンツラインはジャージーのクロップトがメインで、それが軽やかな雰囲気へと変える。ジャケットのヘムから下にコートを着たかのようにレイヤードパーツを流し、パンツの側章やポケットの配色で遊ぶ。リブのヘムのパンツが組下になったスーツやバイカーパンツのような配色切り替えのパンツなど、バレットらしいセンスで見せた。
■モスキーノ
モスキーノは、宇宙戦争のアニメプリントのコート、スーツに同じ柄のバッグやドレスでショーをスタート。ジェレミー・スコットらしいユーモアたっぷりのミリタリースタイルがベースになる。デジタル数字が描かれたスーツ、カムフラージュ柄は部分的にジップで切り替えて鮮やかなカムフラージュを載せ替える。バラの花のカムフラージュのようなプリントから、ミリタリーアイテムにフレスコ画を重ねたスタイルへ。キリスト教の宗教画のような柄とミリタリーアイテムのコントラストを利かせる。
■エルメネジルド・ゼニア
エルメネジルド・ゼニアは、復帰したアレッサンドロ・サルトリによるコレクションを見せた。ショー会場となったのは、アンゼルム・キーファーのアート作品が置かれた空間。そこにスポーツの要素を取り入れたエレガンスが登場する。超軽量のカシミヤスーツやカシミヤデニムなど、ゼニアの技術を生かした素材が特徴。トラックパンツのような組下のスーツに、ブークレタッチのスーツ、シアリングとニットを切り替えたパーカなど、リラックスした雰囲気のエレガンスでまとめた。
(写真=catwalking.com)