16年春夏東京コレクション2

2015/10/16 06:38 更新


【16年春夏メルセデス・ベンツ・ファッション・ウィーク東京/東京コレクション】


砂漠の男のミックススタイル/ヨシオクボ

 海外コレクションで浮上した乾いた空気やサファリといったムードが、東京コレクションにも広がっている。様々な要素と組み合わせることで、軽やかな表現に落とし込んでいるのが東京らしい。(五十君花実)

yoshiokubo

 乾いた木々が置かれた中を、ターバンやスカーフで顔を覆った男たちが歩いてくる。ヨシオクボ(久保嘉男)は、砂漠の乾いた空気と、スポーツ、ミリタリー、フェミニティーといった要素を複雑に組み合わせていく。光沢のあるシャツやブルゾンに載せるのは、ペーズリーやマルチストライプ、星のモチーフ、ボタニカルといった柄のコラージュプリント。覆面のスカーフも同じ柄だ。

 ドレッシーなトップに対し、ボトムはスエットパンツやトラックパンツ。サイドにプリント柄を挟んだパンツは、ライン入りのジャージーを思わせる。トレンチ風のベージュコートに合わせるのは、バラの花柄のトップ。花柄はブルゾンやプルオーバー、ショーツでも反復され、全身花柄で揃えたパステルブルーのルックもある。

 花柄の女性的な感覚は華やかなツイード素材へとつながり、ミリタリームードのカーキのジャケットなどに差していく。様々な要素や素材のマッシュアップは、久保の得意とするところ。見ていて安心感のあるコレクション。

tsukasamikami
 
15年春夏にスタートしたツカサミカミ(三上司)は、カタログ撮影風景を公開する形で初のプレゼンテーションを見せた。シャツを軸にしたブランドとしてスタートしたが、アイテムの幅がぐっと広がっている。特に印象的なのが、燃えるような赤のアネモネやダリアの花を描いた総柄のプリントシリーズ。ドレープトップと台形スカートのセットアップなどに載せ、クリーンで知的なイメージにまとめる。

 シンプルな白いトップは首まわりにひだを寄せ、装飾のリボンには情報に振り回されることを風刺した文言をプリントした。テーマはユートピア。「最近の社会や政治状況に対して思うところがあって」、花言葉などにその思いを託したという。骨太なメッセージを込めつつも、仕上がった商品はちゃんと軽やかできれいなのがいい。

 三上は、エイ・ネットや電通勤務を経てブランドを立ち上げた。「ミントデザインズ」でのインターン経験もある。(写真=加茂ヒロユキ)



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