16年春夏東京コレクション

2015/10/15 11:49 更新


 ポップな感覚を得意としてきた東京だが、ここ数シーズンで大人のエレガンスを見せるブランドがぐっと増えてきた。東京らしい軽やかさや遊び心は保ちつつ、この街に合ったシックを追求している。(五十君花実)


クチュール要素をモダンに昇華―ビューティフルピープル

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 ビューティフルピープル(熊切秀典)のテーマは〝オールドトリック〟。使い古された手段といった意味から転じて、クチュールのテクニックをモダンに昇華することに焦点を当てた。軸となるのは、風をはらむ黒のテーラードコートと、ぺプラムが大きく張り出した白のビュスティエといったクラシックなスタイル。

 ミディードレスは、はぎ合わせによってきれいなフィット・アンド・フレアのシルエットを作る。ともすれば重くなってしまいそうなバランスだが、透け感のあるマルチボーダーのプリーツや繊細なレースを差すことで、軽やかに仕上げている。

 ひらひらとした布の動きも重要で、パターン変化によってマキシドレスやサロペットの裾がふわりと揺れる。クラシックなムードはスリップドレスなどに載せた壁紙調の柄でも反復されるが、よく見ると柄が「ジャックと豆の木」のストーリーになっていたりと、ビューティフルピープルらしい遊び心も健在だ。前シーズンに続き、すっかり定着したキュートなプレッピーからやや離れて、大人のエレガンスを探っている。


らしさ全開のジャポネスクエレガンス―ケイタ・マルヤマ

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 ケイタ・マルヤマ(丸山敬太)が、らしさ全開でさえている。日本趣味、東洋趣味といった「これぞケイタ」な要素を散りばめており、ブランド立ち上げ当初のイメージとも重なる。きものに使うようなラメジャカードに、格子と桜を切り替えた柄。それらをエレガントなシースドレスやタックのフレアスカートに仕立てていく。

 ネービーのラップコートは白糸で全面にシノワな花柄刺繍を載せ、ギンガムチェックの生地はチャイナドレス風のチュニックに。スタート時からのブランドの顔ともいえる刺繍入りニットカーディガンも登場し、懐かしい気分にさせる。淡いパステルカラーの重ねや、透け感のある素材もポイントだ。スタイリングに今年らしい抜け感を加えるのは、クロシェニットのブラトップやランジェリー風のショーツ、フリンジや貝殻を飾った厚底のスポーツサンダル。ヒトデや魚の形の籐(とう)のクラッチバッグも楽しい。(写真=加茂ヒロユキ)

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