「やばいね、片手じゃ足りない」。腕からこぼれそうなほどの子供服を抱え、会場を歩く母親たち。2万円台のキルティングのビュスティエも次々と売れていく――海外子供服の沼、という言葉がある。Xがツイッターの頃に広まり、今では海外子供服好きの間に定着した。沼にハマったママたちは、Xでコーディネートや新作情報を交換し、コミュニティーを形作る。そんなママたちが企画するフリマイベント「フリマやるデェ」(やるデェ)は、おしゃれ好きが集まる場として年々規模を拡大している。
(金谷早紀子)
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一線画した光景
都内の幼稚園で4月に開かれたやるデェには、海外子供服が好きなママたちが列をなした。テーブルからあふれそうなほどの子供服が出品され、来場者は欲しいものを次々に腕にかけていく。2階のクリエイターエリアでは、SNSで人気のクリエイターによる高価格帯の子供服、雑貨が販売されており、低価格化する日本の子供服市場とは一線を画した光景が広がる。
やるデェを企画・運営するのは、同じく海外子供服の沼にハマるママ10人だ。中心となるARINAさん、シエナさん、針山さん(ユーザー名)をはじめ、みんなXを通して知り合った。元々ファッションが大好き。子供にも可愛い服を着せたいと思ったが、日本企業が作る子供服には心が動かなかった。

一方、欧州の子供服ブランドは色柄が鮮やかで新鮮に映った。最初は海外ブランドを扱う日本の専門店で購入していたが、「セレクトしている商品が無難で欲しいものがない」「直接買う方がブランドの応援になる」と、本国のECから直接購入するように。新作が発表されるとXで感想を発信し、購入すればコーディネート写真を投稿。「可愛い!」「どこのブランドですか?」とリアクションが来て、さらに海外子供服好きの輪が広がっていった。
10人が手弁当で
子供が成長して着られなくなった服は個人で売買していたが、「みんなで集まり、好きなものを共有できる場を作りたい」と、23年4月にやるデェを初開催した。5回目となった4月は、チケット制の午前中だけで500~600人が来場。午後はフリー制で、のんびりイベントを楽しむ家族連れが目立った。オリジナルのトートバッグも販売し、今回からはクレジットカード決済を導入した。運営するママ10人がそれぞれの職能を生かし、モデル撮影やグッズ制作、経理まで手弁当で行っている。
やるデェというユニークな名前には、親しみやすさに加え、「おしゃれという枠でくくられるようなイベントにはしたくない」という思いがある。会場では、再会を喜び合い、主催者と来場者の垣根なく写真を撮ったりと、和やかな空気が流れる。様々なつながりが生まれる場になっており、子供の成長で出品できる商品がなくなったとしても、「イベントには関わっていきたい」と口を揃える。
