ヤマトロジスティクス(東京)は、中規模アパレル企業向けに物流センター・店舗業務に利用するICタグシステムを提供している。3、4月は物流センターでのトライアルの引き合いが多く、数社がその準備を進めている。
同社の神奈川ロジセンター(横浜市鶴見区)は、300着以上を陳列したアパレル店舗を模したショールームもあり、1日で物流センター・店舗双方のICタグ利用シーンを体験できる。
神奈川ロジセンターは、ICタグ導入企業のアパレル商品への対応で、13年からICタグを使った仕分けを始めた。現在は、ECの客向けに、入出荷・仕分けでICタグを利用し、欧州からの輸入商品をクロスドッキング型で毎日1000件出荷している。情報プラットフォームやインターフェースのベンダーと組み、ICタグシステムをトータルで提供する。
利用シーンは仕分けから入荷検品、出荷検品と徐々に広がり、当初手持ちのガンタイプリーダーを利用していた入荷検品はゲート型に変更し、今春から遮蔽(しゃへい)シートを付け、出荷検品にも利用している。今後はオートコンベヤーの利用や、出荷データ分析・活用も検討の課題に上がっている。
ハードやオペレーションなどのノウハウが蓄積された同センターでは、物流業務へのICタグ利用による効率化の効果を測るトライアルが可能だ。特定店舗での同様のトライアルも引き受ける。
また、同施設内に16年10月に開設したショールームでは、棚卸し・タグ発行・防犯・在庫検索に必要なハード・ソフトを、実際の店舗を模したスペースで確認できる。オペレーションの工夫で作業の効率・精度を高める知恵を学ぶこともできる。必要なハード・ソフトは同社が一括で提供可能だ。パートナー企業も訪れ、情報共有・交換の場にもなっている。
投資対効果が見えないため「導入への議論が止まっている企業は多い」という。そんな企業には、神奈川ロジセンターでICタグを体感してほしいともいう。実際、部門を越えて体験を共有するため、同センターでのトライアルを検討する企業もある。