ワールドは、オンラインによる身体採寸技術を持つ米通販会社オリジナル(サンフランシスコ)と株式譲渡契約を締結し、連結子会社にすると発表した。
上山健二ワールド社長は「当社が独自に培ってきた物作りから販売に至るリアルなプラットフォームと、オリジナル社の新たなテクノロジーを組み合わせることで、ファッションを再定義し、お客様に向けた価値創造に取り組む」構え。ワールドグループの事業全体と連動するとともに、他社に向けても採寸技術などを提供する考えだ。
(北川民夫)
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米国シリコンバレーで15年に創業したオリジナルは、消費者向けオンラインカスタムシャツブランド「オリジナルスティッチ」を運営するほか、カスタマイゼーションプラットフォームを他社に提供するBtoB(企業間取引)事業を展開する。18年11月には、スマートフォンで身体を撮影して身長や体重、性別、年齢を入力することで、全身16カ所の身体採寸ができる技術「ボディグラム」を提供開始し、他社へライセンス供与するサービスも行う。
オリジナルのジン・コーCEO(最高経営責任者)は「ワールドとの製販における提携によってリアルのプラットフォームと、デジタルにおけるマスカスタマイゼーションが融合できる。当社としては既存のビジネスシャツ製品の展開だけでなく、スーツやネクタイ、かばんなどのビジネスシーンの他、Tシャツやパンツ、ドレス、シューズなどの多様なアイテムの扱いを垂直的に広げる。日本や米国、中国などグローバル市場への水平的な成長を促進する」方針だ。
ワールドとオリジナルは今回の資本提携を通じて①オリジナルスティッチに対して、ワールドグループが持つ生産や商品企画、物流、販売サービスなどを活用することで消費者とダイレクトにつながるサプライチェーンを拡充する②オリジナルのカスタマイゼーション・プラットフォームをワールドの持つ生産背景などのリアルなプラットフォームで強化し、アパレルファッションにとどまらないサービスを拡充する③オリジナルが開発した身体採寸技術のボディグラムに対し、ワールドの実店舗をはじめとする販売網を活用することで、更なるデータ取得による精度向上を図り、ファッションの枠を超えたサイジング・プラットフォームへ発展させる。このサービスは他社にも提供する④ワールドの持分法適用会社でファッションレンタルサービスを展開するオムニスと、オリジナルのシステムエンジニアの協業により、更なるキー・テクノロジーの開発に取り組む⑤ワールドはオリジナルを米国の重要拠点と位置づけ、将来的な米国マーケットへの参入につなげる――の五つの戦略を進める。
更にワールドは同社ECモール「ファッションウォーカー」の運営及びアパレル企業のEC支援などを行うファッション・コ・ラボと、越境EC関連サービスに強みを持つビーノスが、3月に設立した共同出資会社ファスビーと連動し、オリジナルが持つオンラインカスタムのノウハウを生かした海外戦略を進める。
上山ワールド社長は「オリジナルとファスビーの組み合わせを生かした市場拡大に期待する」とし、ワールド・グループ上級執行役員兼ファッション・コ・ラボ社長の中嶋築人氏は「海外において店舗や事業所を設立するリスクを回避して、市場拡大ができる」としている。
